テキサス上院選、極右法理論の勝利が示すアメリカの司法変化
パクストン検事総長がコーニン上院議員を追い込んだテキサス予備選。極右法理論がアメリカの司法解釈をどう変えているのか?
40%対43%。わずか3ポイント差で、テキサス州の政治地図が大きく変わろうとしている。
3月4日に行われたテキサス州上院共和党予備選で、現職のジョン・コーニン上院議員(2002年初当選)が過半数を獲得できず、ケン・パクストン州検事総長との決選投票に追い込まれた。5月26日の決選投票を前に、22年間の議員経験を持つコーニンの政治生命が危機に瀕している。
ベテラン議員を脅かす「極右法理論」の台頭
パクストンの健闘は、単なる地方選挙の結果を超えた意味を持つ。彼の背景には、アメリカの憲法解釈を根本から変えようとする極右法理論運動がある。
パクストンは州検事総長として、バイデン政権に対して106回もの連邦訴訟を起こした。その中には、2020年大統領選の結果を覆そうとした「テキサス対ペンシルベニア」訴訟も含まれている。これは1960年代から主流となったリベラルな憲法理論を拒否し、より党派的な司法解釈を推進する動きの一環だ。
テキサス州検事総長室は、オバマ政権時代から共和党の「訴訟工場」として機能してきた。前任者のグレッグ・アボット現知事時代に始まったこの傾向を、パクストンはさらに加速させた。現在、テキサス州の主要3職(知事、両上院議員)すべてが、この検事総長室出身者で占められる可能性が高まっている。
日本が注目すべき司法制度の「ショッピング」
パクストンの戦略で特に注目すべきは、「判事ショッピング」と呼ばれる手法だ。テキサス州の連邦裁判所では、原告が審理する判事を選択できる場合が多い。共和党寄りの訴訟では、保守的な判事を意図的に選んで有利な判決を得ようとする。
例えば、中絶薬ミフェプリストンの使用禁止を求めた訴訟では、キリスト教右派活動家出身のマシュー・カクスマリク判事が選ばれた(後に最高裁が全員一致で覆す)。また、テキサス州の訴訟は保守的な第5巡回控訴裁判所に上訴されるため、共和党にとって有利な環境が整っている。
日本の司法制度では考えにくいこの「判事選択」システムが、アメリカの政治的分極化をさらに深刻化させている。司法の独立性と政治的中立性を重視する日本にとって、これは重要な教訓となるだろう。
憲法解釈の「急進的変化」を推進
パクストンの影響力は、個別の訴訟勝敗を超えて憲法解釈そのものを変えることにある。
2021年のテキサス州法「SB 8」では、中絶提供者を「賞金稼ぎ」が訴えることで中絶を事実上禁止する仕組みを作った。最高裁は「Whole Woman's Health v. Jackson」判決でこれを容認したが、この論理を突き詰めれば、どの州でも「賞金稼ぎ」制度を使って憲法上の権利を無力化できることになる。
2025年の「Free Speech Coalition v. Paxton」では、2004年に最高裁が違憲とした連邦法とほぼ同じ反ポルノ法について、パクストンの弁護士たちが最高裁に過去の判例を覆させることに成功した。
一方で、パクストンも多くの敗訴を経験している。2020年選挙を覆そうとした訴訟は却下され、ソーシャルメディアのコンテンツ審査を州が管理しようとした法律も違憲とされた。しかし重要なのは、たとえ最終的に敗訴しても、11ヶ月から1年という長期間、事実上政策を停止させる効果を上げていることだ。
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