米金融当局の新規則案、仮想通貨業界のステーブルコイン報酬モデルに暗雲
米通貨監督庁がステーブルコイン規制案を発表。コインベースなどの報酬プログラムに制限の可能性。仮想通貨業界は猛反発の構え。
376ページに及ぶ規制提案書が、アメリカの仮想通貨業界に激震を走らせている。
米通貨監督庁(OCC)が発表したステーブルコイン規制案は、表面的には昨年成立したGENIUS法の実装を目的としているが、業界関係者は「これは想定していたものとは全く違う」と困惑を隠せない。特に注目されているのは、コインベースなどの取引所が提供するステーブルコイン報酬プログラムへの制限だ。
規制の核心:第三者報酬への「疑いの目」
GENIUS法は、ステーブルコイン発行者による利回りや報酬の支払いを禁止している。しかし業界は、これまで第三者である取引所が独自に提供する報酬プログラムは対象外だと理解していた。
OCCの提案書は、この解釈に冷や水を浴びせる。発行者と仮想通貨プラットフォームの「密接な財務関係」は、「発行者による利回りや利息の支払いが仲介業者を通じて行われる可能性を高める」と指摘。実質的に法律の禁止規定を回避する試みだとみなす可能性を示唆している。
サークルとコインベースのような発行者と取引所の提携関係が、まさにこの「密接な関係」に該当する可能性がある。両社は反証を提出できるとされているが、「十分な証拠」の基準は明確ではない。
業界の反発と政治的複雑さ
仮想通貨業界の関係者は匿名で「この提案は最悪の出だしだ。必ず変更を求めて戦う」と語る。一方で、「規制当局の文言には解釈の余地があり、報酬プログラムの継続は不可能ではない」との見方もある。
興味深いのは、この提案を主導したジョナサン・グールドOCC長官が、仮想通貨企業ビットフューリーの元最高法務責任者であることだ。業界に理解のある人物からの「予想外の厳格提案」に、業界の困惑は深まっている。
問題をさらに複雑にしているのは、現在議会で審議中の「明確化法案(Clarity Act)」との関係だ。この法案では、ステーブルコインの利回りが主要な争点の一つとなっている。銀行業界は「ステーブルコインの利回りが顧客預金の流出を招く」と懸念を表明し、規制強化を求めている。
日本への示唆:規制の先進事例として
日本の金融業界にとって、この動きは重要な示唆を含んでいる。日本は世界に先駆けて仮想通貨規制の枠組みを整備してきたが、ステーブルコインについては2023年に改正資金決済法で規制を開始したばかりだ。
米国の規制動向は、日本の金融機関や仮想通貨事業者の戦略にも影響を与える可能性がある。特に、SBIホールディングスや楽天などが展開する仮想通貨事業において、ステーブルコインを活用したサービス設計に慎重な検討が求められるかもしれない。
上院銀行委員会の公聴会では、民主党のアンジェラ・アルソブルックス議員が「地域銀行の懸念を真剣に受け止めなければならない」と発言。規制当局は「銀行からの預金流出はまだ確認されていない」としながらも、警戒感を示している。
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