NEAR、AIとブロックチェーンを融合した「スーパーアプリ」で暗号資産の大衆化を狙う
NEARが発表したNear.comは、AIエージェントと暗号資産を統合し、プライベート取引機能を搭載。日本の金融業界にも影響を与える可能性
暗号資産を使うのに、なぜ10個ものアプリを使い分けなければならないのか。NEAR Protocolの共同創設者イリア・ポロスキン氏は、この素朴な疑問から新しい答えを見つけた。
2026年2月23日、NEARはNear.comという新しい「スーパーアプリ」を発表した。これは単なる暗号資産ウォレットではない。AIエージェントと暗号資産インフラを融合させ、従来の金融アプリと同じ感覚で使えるプラットフォームを目指している。
「エージェント時代」の到来
ポロスキン氏は、現代のAIシステムの基盤となる「トランスフォーマーモデル」の共著者でもある。彼が描く未来は、AIが単なる質問応答ツールから、ユーザーの代わりに実際の行動を取る「エージェント」に進化する世界だ。
「私たちはAIが計算への新しいインターフェースになる世界に入りつつあります」と彼は語る。旅行の予約からメール管理、オンライン購入まで、AIエージェントがより多くの作業を代行するようになると、それらには決済機能が必要になる。
ここで暗号資産インフラの出番となる。従来の金融仲介機関に依存せず、プログラム可能な決済、グローバル送金、自動決済を実現できるからだ。
日本企業への示唆
Near.comの特徴は、複数のブロックチェーンを横断してビットコイン、ステーブルコイン、NFTなどを一元管理できる点だ。ガス代や秘密鍵の管理といった技術的な複雑さを隠し、「メインウォレットとして使うだけ」の体験を提供する。
日本の金融機関にとって、これは重要な示唆を含んでいる。三菱UFJ銀行やみずほ銀行が進めるデジタル通貨実証実験、ソニーのブロックチェーン技術への投資、楽天の暗号資産事業展開など、日本企業も同様の統合型アプローチを模索している。
プライバシーという新たな価値
特に注目すべきは「コンフィデンシャルモード」の導入だ。ブロックチェーンの透明性は信頼を構築する一方で、財務情報の露出というリスクも抱えている。
「オンチェーンでの全ての活動は透明です。しかし、これは日常的な利用には現実的ではありません」とポロスキン氏は指摘する。この機能により、残高、送金、取引活動をネットワークのセキュリティ枠組み内で非公開に保てる。
日本の個人情報保護法の厳格な要件や、企業の機密保持ニーズを考えると、このプライバシー機能は日本市場での普及において重要な要素となるだろう。
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