MrBeast、金融アプリ買収で7億人のZ世代に挑む
YouTube最大のクリエイターMrBeastが金融アプリStepを買収。Z世代向け金融サービスの未来と、クリエイターエコノミーの新展開を探る。
4億6600万人のチャンネル登録者を持つYouTube界の帝王MrBeastが、今度は若者の財布を狙っている。
2月9日、本名ジミー・ドナルドソン(27歳)率いるBeast Industriesが、Z世代向け金融アプリStepの買収を発表した。Stepは5億ドルの資金調達を経て700万人のユーザーを獲得し、若者向けのクレジット構築、貯蓄、投資サービスを提供している。
クリエイターが金融業界に参入する理由
「投資や信用構築、お金の管理について、成長期に誰も教えてくれなかった」とMrBeastは語る。「何百万人もの若者に、私が持てなかった金融基盤を提供したい」
この発言は単なる美辞麗句ではない。昨年リークされたBeast Industriesの企画書によると、同社は金融サービス分野への進出を以前から検討していた。さらに、ライアン・レイノルズのMint Mobileのような低コスト携帯プランの展開も視野に入れているという。
Stepにはチャーリー・ダミリオ、ウィル・スミス、ザ・チェインスモーカーズ、ステフィン・カリーといったセレブ投資家に加え、General Catalyst、Coatue、決済大手Stripeなどのベンチャー企業が出資している。
YouTubeを超えたビジネス帝国
MrBeastの事業展開は、従来のクリエイターの枠を大きく超えている。Bloombergの報道によると、チョコレートブランドFeastablesはMrBeastのYouTubeチャンネルやAmazon Prime Videoの番組「Beast Games」よりも収益性が高い。
YouTubeの広告収入の多くはコンテンツ制作に再投資されているため、同社の真の収益源は物理的な商品やサービスにある。ただし、LunchlyやMrBeast Burgerなど、すべての事業が成功しているわけではない。
Z世代金融サービスの新局面
Stepの創設者兼CEOCJ MacDonaldは「この買収により、プラットフォームが拡大され、顧客により革新的な商品を提供できることを嬉しく思う」と述べている。
しかし、この買収が示すのは単なる事業拡大以上の意味がある。従来の金融機関が若者にリーチするのに苦戦する中、MrBeastのような影響力を持つクリエイターが金融教育の担い手となる可能性を示している。
日本では、金融庁が若年層の金融リテラシー向上を重要課題としている。MrBeastのアプローチが成功すれば、日本の金融機関やフィンテック企業にとっても新たなモデルケースとなるかもしれない。
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