インドネシアクリエイターがFacebookを復活させる理由
Facebook新収益化プログラムで1年間に参加者が4倍増。インドネシア語コンテンツが15%を占め、YouTube・TikTokに対抗する戦略が奏功。
ラフィ・アフマドは、インドネシアの俳優として知られているが、今や1650万人のフォロワーを持つFacebookクリエイターとしての顔も持つ。家族の日常を投稿する彼のアカウントは、インドネシアで2番目に人気の収益化アカウントとなり、その影響力は大統領特使への任命にまで至った。
彼の成功は偶然ではない。Facebookの新しい収益化プログラムが、インドネシアのクリエイターたちに前例のない機会を提供しているのだ。
急成長する収益化プログラムの舞台裏
Metaが2024年10月に導入した新しい収益化プログラムは、従来の広告収益分配モデルから、TikTokと同様のコンテンツパフォーマンス連動型に転換した。この変更により、参加者数は1年間で270万人から1200万人へと約4倍に急増している。
特に注目すべきは、インドネシア語アカウントが全収益化アカウントの15%を占めていることだ。170万のインドネシア語アカウントは、スペイン語(85万)やヒンディー語(28万)を大きく上回り、英語以外では最大のグループを形成している。
デジタルマーケティング会社We Are Socialインドネシア支社の戦略企画ディレクター、ブンガ・イスティヤニ氏は「Facebookルネサンス」が起きていると分析する。クリエイターたちが地方都市での確実なリーチを求めて、Facebookに回帰しているというのだ。
なぜインドネシアなのか
インドネシアでFacebookが復活している背景には、独特の文化的要因がある。同国では、クリエイターは単なるエンターテイナーではなく「コミュニティリーダー」として、販売や収益に直接的な影響を与える存在だ。
Facebookの「スター」機能(ライブ配信中にフォロワーがクリエイターに送金できる機能)や、エンゲージメントを高めるFacebookグループの仕組みは、こうしたコミュニティ重視の文化と合致している。
ロイター・ジャーナリズム研究所の「デジタルニュースレポート2025」によると、インドネシアでは57%の回答者がニュース消費にソーシャルメディアを利用しており、これはインドや他の多くの国を上回る数値だ。コンパス、トリブンニュース、リプタン6といった伝統的なニュースブランドも、インドネシアのトップ収益化アカウントに名を連ねている。
日本市場への示唆
興味深いのは、この現象が日本のソーシャルメディア戦略にも影響を与える可能性があることだ。日本ではYouTubeやTikTokが主流だが、Facebookの新しいアプローチは、特に地方や高齢者層へのリーチを重視する企業にとって新たな選択肢となりうる。
Facebookの参入障壁の低さ(テキストや写真からも収益化可能)は、YouTubeの厳しい条件に比べて魅力的だ。日本の中小企業や地域密着型のクリエイターにとって、これは見逃せない機会かもしれない。
また、インドネシアで人気のゲームや家族関連コンテンツは、日本の任天堂やソニーといったエンターテイメント企業にとって、新興市場でのマーケティング戦略を考える上で重要な参考事例となるだろう。
競合他社の反応
YouTubeは2021年から2023年にかけて700億ドルをクリエイターに支払ったが、Facebookは2024年に20億ドルに留まっている。しかし、単純な金額比較だけでは語れない変化が起きている。
FacebookのRPM(1000回再生あたりの収益)がインドネシアでYouTubeと競争力を持つようになったことは、プラットフォーム間の力関係に変化をもたらす可能性がある。
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