AIブームが招くスマホ大暴落、12.9%減の衝撃波
AI需要によるRAM不足でスマートフォン出荷台数が過去10年で最大の減少。平均価格は14%上昇し、業界構造が根本的に変化する。
Nothingの共同創設者カール・ペイ氏が今年初め、「2026年はスマートフォンがより高価になる」と警告した時、多くの人はそれを単なる業界の一時的な調整と考えていた。しかし、調査会社IDCが発表した最新予測は、この変化がいかに深刻かを物語っている。
スマホ業界に訪れた「構造的リセット」
IDCによると、2026年のスマートフォン出荷台数は前年比12.9%減の11.2億台まで落ち込む見込みだ。これは過去10年間で最大の減少幅となる。2025年に12.6億台だった出荷台数が、わずか1年で1.4億台も減少することになる。
原因はAI需要の急増によるRAM不足だ。データセンターや高性能コンピューターがAI処理のために大量のメモリを必要とし、スマートフォン向けのRAM供給が逼迫している。この影響で、スマートフォンの平均販売価格は14%上昇し、過去最高の523ドルに達すると予測されている。
IDCのナビラ・ポパル上級研究ディレクターは「これは一時的な減少ではなく、市場全体の構造的リセットを意味する」と指摘する。「長期的なTAM(総潜在市場規模)、ベンダーの勢力図、製品構成が根本的に再構築される」
地域別の明暗、日本市場への波及効果
地域別に見ると、中東・アフリカが最も深刻な打撃を受け、出荷台数が20%以上減少する見込みだ。中国は10.5%減、アジア太平洋地域(日本・中国除く)は13.1%減となっている。
日本市場については具体的な数値は示されていないが、ソニーやシャープといった国内メーカーにとって、この変化は両面性を持つ。高価格化により利益率は改善する可能性がある一方、出荷台数の減少は売上高の圧迫要因となる。
特に注目すべきは、低価格帯市場の縮小だ。ペイ氏は「一部の市場、特にエントリーレベルとミッドティア セグメントは20%以上縮小する可能性がある」と予測している。これまで「より多くの機能をより安く」というモデルで成長してきたブランドにとって、2026年はこのモデルが持続不可能になる年となりそうだ。
業界再編の始まり
価格上昇と供給制約により、小規模プレイヤーは市場からの撤退を余儀なくされ、業界の統合が進むとIDCは予測している。これは日本企業にとって、グローバル市場でのポジション再構築の機会でもある。
IDCは、RAM価格が2027年半ばまでに安定化すると予想している。しかし、それまでの1年半は、スマートフォン業界にとって厳しい調整期間となりそうだ。
興味深いのは、他の調査会社Counterpointが予測した減少幅はわずか2.6%だったことだ。この大きな差は、AI需要の影響をどこまで深刻に見るかによって、専門家の間でも見解が分かれていることを示している。
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