脳炎を引き起こす麻疹が米国で急拡大、ワクチン接種率低下の代償
米サウスカロライナ州で麻疹患者が876人に急増、一部の子どもが脳炎を発症。ワクチン接種率低下が招く深刻な健康被害の実態とは。
876人。米サウスカロライナ州で確認された麻疹患者数が、わずか4か月でここまで急増した。しかも一部の子どもたちが、脳の炎症である脳炎を発症している。
州疫学者のリンダ・ベル氏が2月3日に明らかにしたこの数字は、単なる感染症の流行を超えた深刻な事態を物語っている。昨年10月にわずか数件から始まった感染は、今年に入ってから700件が新たに報告され、米国全体で2025年に記録した過去30年間最多の2,267件を上回るペースで拡大している。
脳炎という見えない脅威
麻疹による脳炎は、感染から30日以内に発症する可能性がある重篤な合併症だ。ウイルスが直接脳に感染するか、ウイルスに対する免疫反応が脳に炎症を引き起こすことで発生する。
「脳の炎症が起これば、発達遅延や神経系への影響など、取り返しのつかない長期的な後遺症が残る可能性がある」とベル氏は警告する。統計上、麻疹脳炎を発症した子どもの10~15%が死亡する。
現在、サウスカロライナ州では19人が麻疹関連で入院しており、その中には肺炎を併発したケースも含まれている。麻疹患者の20人に1人が肺炎を発症し、これが子どもの主要な死因となっている。
より恐ろしい遅発性の脳炎
麻疹にはもう一つ、より深刻な合併症がある。亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる病気で、初回感染から7~10年後に発症する可能性がある。
昨年9月、ロサンゼルス郡で学齢期の子どもがSSPEで死亡した。この子は乳児期、ワクチン接種が可能になる前に麻疹に感染していた。一見回復したかに見えたが、脳内に潜伏していたウイルスが年月を経て炎症反応を引き起こし、徐々に脳組織を破壊していったのだ。
麻疹患者の1万人に2人がSSPEを発症するとされている。つまり、今回の876人の患者の中からも、将来的にSSPEを発症する子どもが出てくる可能性がある。
ワクチン接種率回復の兆し
一方で、希望的な動きも見られる。今年1月、サウスカロライナ州全体でのMMR(麻疹・おたふく風邪・風疹)ワクチン接種数は前年同月比72%増の7,000回以上となった。流行の中心地であるスパータンバーグ郡では162%増の1,000回以上が接種された。
この数字は、実際の健康被害を目の当たりにした保護者たちの意識変化を表している可能性がある。ベル氏によると、1月は流行開始以来、最も多くのワクチン接種が行われた月だった。
日本への示唆
日本では現在、麻疹の定期接種率は95%以上を維持している。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に接種率が低下した時期もあり、決して他人事ではない。
特に注目すべきは、妊娠中の女性への影響だ。サウスカロライナ州では麻疹に曝露した妊婦数名に免疫グロブリンの投与が必要となった。麻疹への感染は早産や流産のリスクを高めるためだ。少子高齢化が進む日本にとって、妊娠可能年齢の女性の健康保護は特に重要な課題となる。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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