アメリカで「共感は罪」と説く宗教指導者たち
トランプ政権下で「共感は危険な感情」と主張するキリスト教ナショナリストが台頭。ヒラリー・クリントンが宗教と政治の危険な結合を警告する。
「共感は文明を破壊する危険な感情だ」——こんな主張をするキリスト教指導者がアメリカで影響力を拡大している。元国務長官のヒラリー・クリントン氏が、トランプ政権下で起きている宗教と政治の危険な融合について警鐘を鳴らした。
「隣人愛」を否定する新たな宗教運動
事の発端は、ミネアポリスで起きた連邦捜査官による市民射殺事件だった。ICU看護師のアレックス・プレッティ氏は、連邦捜査官に地面に押し倒され催涙スプレーをかけられた女性を助けようとして射殺された。この事件に対するトランプ政権の反応は、被害者を「国内テロリスト」と中傷することだった。
ワシントン聖公会主教のマリアン・エドガー・バッド氏は、トランプ大統領就任翌日の祈祷会で「神の名において、この国で恐怖を感じている人々に慈悲を」と訴えた。移民の子どもたちや難民、LGBTQ の若者たちへの配慮を求める、キリスト教の隣人愛に基づいた説教だった。
しかし、この説教に対する反応は激烈だった。共和党下院議員は主教を「強制送還リストに加えるべき」と発言。影響力のある牧師ベン・ガレット氏は「この蛇は神の敵だ。適切に憎むべきだ」と信者に呼びかけた。
「毒性共感」という新語の登場
最も象徴的なのは、右派キリスト教ポッドキャスターのアリー・ベス・スタッキー氏の発言だった。彼女は主教の説教を「神の言葉に完全に反対し、これまで考案された最も悪魔的で破壊的なアイデアを支持する毒性共感」と断じた。
「毒性共感」——この矛盾した表現は、アメリカの宗教右派が到達した新たな境地を示している。100万人を超えるSNSフォロワーを持つスタッキー氏は、女性たちに「柔らかい心に耳を傾けるな」と警告し続けている。
JD・バンス副大統領も、キリスト教徒は愛に「けちであるべき」で、見知らぬ人より身近な人を優先すべきだと主張している。これに対し、故フランシスコ教皇は「キリスト教の愛は、少しずつ他者や集団に広がる利益の同心円的拡大ではない」と反論していた。
日本から見た「共感の政治化」
日本の読者にとって、この現象は特に興味深い意味を持つ。日本社会では「和」や「思いやり」が重要な価値観とされ、宗教と政治の分離も比較的明確に保たれてきた。しかし、アメリカで起きている「共感の政治化」は、グローバル化した世界で他国にも影響を与える可能性がある。
実際、調査によると共和党員の4分の1、キリスト教ナショナリストの40%近くが「共感は神の真理に導かれた社会の構築を阻害する危険な感情」だと考えている。これは、戦後日本が大切にしてきた「相手の立場に立って考える」という価値観とは正反対の方向性だ。
シリコンバレーのテクノ権威主義者たちも、共感は「文明にとって自殺的」だと主張している。彼らは批判者を「NPC(ノンプレイヤーキャラクター)」、つまり人間ではない存在として扱っている。
分裂する宗教界
一方で、従来のキリスト教指導者たちは強く反発している。全米教会協議会は「キリスト教ナショナリズムの危険性」について警告を発し、「聖書の核心にあるのは、異邦人や見知らぬ人を歓迎する物語だ」と強調している。
1月23日には、約100人の聖職者がミネアポリス空港での強制送還に抗議して逮捕された。彼女たちは極寒の中で祈りを捧げ、賛美歌を歌い続けた。
米国カトリック司教会議も異例の共同声明を発表し、「無差別な大量強制送還」と「移民の悪魔化」を非難している。司教会がこのように一致して声を上げるのは2013年以来のことだ。
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