核軍縮条約の終焉:なぜ今、世界は最も危険な時代に入ったのか
米露間の新START条約が失効し、50年ぶりに核兵器制限がない時代に。日本の安全保障にとって何を意味するのか?
50年ぶりに、地球上最大の核兵器保有国間に拘束力のある制限が存在しない時代が始まった。
2026年2月5日、米露間の新START条約が失効し、両国の核戦力に対する最後の合意された制限が終了した。この条約は、アメリカとロシアが配備できる戦略核兵器を1,550発ずつに制限し、現地査察やデータ交換を義務付け、衛星監視への妨害を禁止していた。
なぜ今、この条約失効が重要なのか
中国が急速に核戦力を増強し、米中露間の激しい競争が続く中で、予測不可能な三者間核軍拡競争の可能性が現実味を帯びている。ハーバード大学の核政策専門家マシュー・バン氏は、「核紛争の危険性は数十年ぶりの高水準にある」と警告する。
核軍縮協定は単なる数字の問題ではない。4つの重要な利点を提供していた:予測可能性の確保、透明性の向上、先制攻撃誘因の削減、そして関係改善への貢献だ。
1962年のキューバ危機後、ジョン・F・ケネディ大統領は核抑止だけに頼ることの危険性を認識し、1963年に部分的核実験禁止条約の交渉を急いだ。以降、すべての米大統領が核軍縮協定を追求してきた歴史がある。
日本にとっての意味
トランプ大統領は「より良い」協定の交渉を望んでいると述べているが、現在のところ後続協定の交渉は行われていない。むしろワシントンでは、ロシアと中国の両方を抑制するために米国の核戦力を増強すべきだという圧力が強まっている。
日本は核不拡散条約の下で核兵器を持たないことを約束した国として、核保有国が軍縮に向けて誠実に交渉することを期待している。また、日米同盟の核の傘に依存する日本にとって、米国の核政策の変化は直接的な安全保障上の影響を持つ。
北朝鮮の核脅威が継続し、中国の軍事的台頭が続く東アジア情勢において、核軍縮条約の失効は地域の安定性にさらなる不確実性をもたらす可能性がある。
三者間交渉の困難
今後の課題は、これまでの二者間ではなく、少なくとも三者間での新たな協定を見つけることだ。サイバー兵器や人工知能など、核バランスに影響する非核技術への対処も必要となる。
米国の政治的分極化により、上院で条約批准に必要な3分の2の票を獲得することは非常に困難かもしれない。しかし、相互の政治的約束から行政協定まで、多くの代替アプローチが存在する。
プーチン大統領が提案した「戦略的休止」—米露両国が当面核戦力を増強せず、次の段階について話し合う期間—にトランプ大統領が同意する可能性もある。
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