ビットコイン、金より低ボラティリティで「長期的魅力」高まるか
JPモルガンがビットコインの金に対する相対的低ボラティリティを評価。デジタル資産の長期的な安全資産としての可能性を分析
266,000ドル。これは、JPモルガンのアナリストが算出したビットコインの理論価格だ。もしビットコインが金と同じボラティリティを持った場合の値段である。
現実離れした数字に見えるかもしれないが、この計算の背景には重要な意味が隠されている。「デジタルゴールド」と呼ばれてきたビットコインが、実際の金よりも安定した値動きを見せているという事実だ。
逆転する安全資産の序列
2025年、金は60%超の上昇を記録し、伝統的な安全資産としての地位を改めて示した。中央銀行の継続的な購入と、地政学的不安による逃避需要が価格を押し上げた。
一方でビットコインは2026年に入って苦戦が続いている。月次ベースで連続下落を記録し、主要リスク資産をアンダーパフォームする展開となった。JPモルガンの分析によれば、この乖離はビットコインの市場混乱に対するヘッジ手段としての魅力が薄れていることを反映している。
「デジタル資産は過去一週間でさらに圧迫を受けた。リスク資産、特にテック株が圧迫される中、金や銀といった破滅的シナリオに対する他の認識されたヘッジ手段が急激な調整を見せた」と、ニコラオス・パニギルツォグル氏率いるアナリストチームは指摘する。
ETF市場に現れる投資家心理
この売り圧力は、ビットコインとイーサリアムの現物ETF(上場投資信託)にも波及している。機関投資家と個人投資家の両方で、広範囲にわたる弱気センチメントが見られる状況だ。
さらに注目すべきは、ステーブルコインの供給量が収縮していることだ。これは暗号資産市場全体への資金流入が細っていることを示唆している。
日本の投資家にとって、この動向は二重の意味を持つ。円安環境下で海外資産への分散投資を検討する中で、ビットコインと金のどちらを選ぶべきかという判断が迫られているからだ。
低ボラティリティが示す未来
興味深いのは、JPモルガンが今回の状況をむしろポジティブに捉えていることだ。金がビットコインを上回るパフォーマンスを見せる一方で、金のボラティリティが大幅に高くなっていることに注目している。
「これによりビットコインは金と比較してさらに魅力的になっている」とアナリストは分析する。理論的には、ビットコインが最近の金と同程度のボラティリティを持つとすれば、価格は266,000ドル近くまで上昇する必要があるという計算だ。
もちろん、この価格水準が今年中に実現される可能性は低いとアナリストも認めている。しかし、この低ボラティリティこそが、ビットコインの長期的な安全資産としての可能性を浮き彫りにしているのだ。
日本市場への示唆
日本では2024年から暗号資産ETFの議論が活発化している。野村證券やSBIホールディングスといった大手金融機関も、デジタル資産への取り組みを強化している。
しかし、日本の投資家特有の慎重さを考えると、ボラティリティの低下は重要な転換点となる可能性がある。従来「投機的」と見られがちだったビットコインが、より安定した投資対象として認識される契機になるかもしれない。
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