「ボランティア」が世界外交の舞台に立つとき
ジャレッド・クシュナーは肩書きも倫理開示もなく、プーチン、ネタニヤフ、ゼレンスキーと交渉の席に着いた。公人と私人の境界が消えるとき、民主主義の透明性は何を失うのか。
肩書きのない男が、核戦争の瀬戸際で交渉テーブルに座っていた。
今年2月、米国とイスラエルがイランを攻撃する2日前、ジャレッド・クシュナーはジュネーブにいた。大統領特別顧問でも、国務省職員でもない。ただの「大統領の義理の息子」として。
「私は今、投資家だ」——しかし彼は戻ってきた
2021年、トランプ政権第1期が終わると、クシュナーはホワイトハウスを去った。政府職員としての開示義務と監視の目が「嫌だった」と語り、プライベートな投資家として生きることを宣言した。設立した投資会社アフィニティ・パートナーズには、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が率いるファンドから20億ドルの出資を受けた。
2024年のインタビューでは「トランプ大統領から『戻ってきてくれ』と言われたら?」という問いに、「ノーと言う」とはっきり答えていた。
だが彼は戻った。
トランプ政権第2期が始まってから14ヶ月の間に、クシュナーはプーチン、ネタニヤフ、ゼレンスキー、そして複数の中東指導者と会談した。先週末にはJD・ヴァンス副大統領とともにイスラム堡(イスラマバード)を訪問し、イランとの和平交渉に参加した。いかなる公式の肩書きも持たずに。
ホワイトハウスは彼を「ボランティア」と呼ぶ。
倫理法の「抜け穴」、あるいは空白
米国には「特別政府職員(Special Government Employee)」という制度がある。民間のビジネスパーソンが政府の仕事を行う際に適用される法的枠組みで、イーロン・マスクやコーリー・ルウォンドウスキーもこの指定を受けていた。この指定を受ければ、倫理開示書類の提出が義務付けられる。
クシュナーはこの指定を受けていない。
1978年、ウォーターゲート事件後の改革の波の中で制定された「政府倫理法(Ethics in Government Act)」は、高官の財務情報を公開することで利益相反を防ぐ仕組みを作った。しかしクシュナーはいかなる倫理開示書類も提出していない。
公式の特使スティーブ・ウィトコフは昨夏に政府職員として正式に登録し、開示書類を提出した(暗号資産への出資問題があったものの)。「クシュナーの役割はウィトコフと変わらない。なぜ異なる倫理基準が適用されるのか、説明が必要だ」——市民倫理監視団体CREWのドナルド・シャーマン代表はそう指摘する。
ホワイトハウスの広報担当者アナ・ケリーは「クシュナー氏は私人として行動しており、開示義務の対象外だ」と述べた。
「コンフリクト・オブ・インタレスト」か「経験と信頼関係」か
クシュナー自身は、利益相反の概念を正面から否定する。「人々が利益相反と呼ぶものを、スティーブと私は経験と信頼関係と呼ぶ」と彼は60ミニッツのインタビューで語った。ガザ停戦交渉を成し遂げた実績を持つ彼の言葉には、一定の重みがある。
だが問題は、その「信頼関係」の経済的背景が見えないことだ。
ニューヨーク・タイムズの報道によれば、クシュナーはダボス会議でアフィニティ・パートナーズへの50億ドルの出資を募りながら、同時に米国代表団の一員としてガザの将来計画を発表していた。アフィニティは「追加出資の受け入れは予定していない」と声明を出したが、その境界線の曖昧さは残る。
サウジアラビアのファンドによる20億ドルの出資は、そのファンド自身がアフィニティの運営を「あらゆる面で不満足」と評価したにもかかわらず実行された。クシュナーは「世界で最も権威ある投資家の一つ」との言葉でこれを擁護する。
建国の父たちが恐れたもの
ここで問われているのは、クシュナー個人の問題だけではない。
米国憲法には「エモルメンツ条項」が明記されている。大統領が議会の承認なしに外国の指導者から贈り物を受け取ることを禁じたものだ。ジョージ・ワシントンは1796年の告別演説で「外国の影響という陰険な策略に対し、自由な国民の警戒心は常に目覚めていなければならない」と警告した。
トランプ政権は現在、倫理担当長官を4人目に交代させ、大統領が任命した監察総監の多くを解任して忠実な人物に置き換えた。利益相反の刑事訴追を担う司法省も、大統領の意向に従順だ。
こうした状況の中で、クシュナーの開示義務を求める声は「些細なこと」に見えるかもしれない。しかしそれは、透明性という民主主義の基盤が少しずつ侵食されていく過程の一部でもある。
日本にとっての問いかけ
日本の外交・ビジネス界にとって、この問題は対岸の火事ではない。トヨタやソニーをはじめとする日本企業の対米投資、日米安全保障条約の運用、中東情勢に連動するエネルギー価格——これらすべてが、「誰が、どのような利害関係のもとで」米国の外交政策を動かしているかに影響される。
透明性のない外交は、予測可能性を失わせる。そしてビジネスにとって、予測不可能性は最大のリスクの一つだ。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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