ホルムズ海峡が燃えている——世界は何を失うのか
米国とイスラエルによるイラン攻撃が16日目に突入。イスファハンで15人死亡、ホルムズ海峡封鎖リスク、日本エネルギー安全保障への深刻な影響を多角的に分析します。
日本が輸入する原油の約90%は、この海峡を通過します。その海峡が今、戦場の縁に立っています。
何が起きているのか
2026年3月15日、米国とイスラエルによるイラン攻撃は16日目を迎えました。この24時間だけでも、中部イランの工業都市・イスファハンへの攻撃で少なくとも15人が死亡。南部の都市シラーズでは住宅密集地が標的となり、テヘランの知事は「米・イスラエルの攻撃によって少なくとも1万棟の住宅が損傷または全壊した」と報告しています。2月28日の開戦以来、イラン側の死者数は1,400人以上に達しました。
イスラム革命防衛隊(IRGC)は「第50波」の攻撃を発動したと宣言し、UAE・バーレーン・クウェートの米軍基地を標的にしました。クウェートのアフマド・アル・ジャービル空軍基地周辺には2発のミサイルが着弾し、兵士3人が負傷。クウェート国際空港のレーダーシステムの一部も損傷しました。
イランの外相アッバース・アラグチー氏は、UAEのドバイ近郊から発射された巡航ミサイルがイランの戦略的要衝・ハルク島を攻撃したと主張。「報復は地域全体にとって危険なものになりうる」と警告しています。
一方、トランプ大統領はNBCニュースとの電話インタビューで「イランは取引を望んでいる」と述べながらも、「条件がまだ十分ではない」として交渉には応じない姿勢を示しました。さらに、ホルムズ海峡の安全確保のため、中国を含む各国に艦船派遣を呼びかけています。しかし現時点で、この呼びかけに応じた国はありません。日本は「ハードルが高すぎる」と回答しています。
なぜ今、これが重要なのか
数字が示す被害の規模よりも、この戦争が持つ「構造的な危うさ」に目を向ける必要があります。
IRGCの海軍司令官は「ホルムズ海峡はまだ閉鎖していない。ただ管理下に置いている」と述べました。この一言の意味は重大です。世界の石油輸送量の約20%、液化天然ガス(LNG)の約20%が通過するこの海峡が「管理下」に置かれているということは、いつでも閉鎖できる状態にあることを示唆しています。
イスラエルは米国に対し、弾道ミサイル迎撃システムの在庫が「危機的に不足している」と伝えたと報じられています。これは戦争の長期化を示すシグナルであると同時に、米国のさらなる軍事的関与を促す圧力にもなります。
日本にとってこの状況は、エネルギー安全保障の根幹に関わります。東京電力や関西電力などの電力会社、JXTGエネルギー(現ENEOS)などの石油元売り各社は、中東依存からの脱却を長年の課題としてきました。しかし現実には、代替ルートの確立は容易ではありません。原油価格の高騰は、製造業から物流まで、日本経済全体に波及します。
複数の視点から読み解く
この戦争を「誰が正しいか」という軸で見るのは、あまりにも単純です。
トランプ政権は、イランの核開発阻止と「取引」による地域安定を目指していると主張します。しかし同政権は一方で、批判的な報道をする報道機関の放送免許取り消しを警告するなど、情報統制の動きも見せています。53%の米国有権者が今回の攻撃に反対しているというクイニピアック大学の世論調査は、国内の分断を示しています。
イランの側から見れば、新しい最高指導者モジュタバー・ハメネイー氏のもとで体制の継続性を示しながら、報復攻撃を続けることが「国内向けの正当性」を維持する手段となっています。外相が「最高指導者に問題はない」と強調した背景には、体制の動揺を否定する政治的意図があります。
サウジアラビア、UAE、クウェート、バーレーン、カタールなどの湾岸諸国は、イランの攻撃を受けながらも、米国との同盟関係を維持しています。しかしUAEが「道徳的破産」とイランを非難した言葉の裏には、自国がこの戦争の代理戦場になることへの深い懸念があります。
日本は「ハードルが高すぎる」として艦船派遣を断りました。これは憲法上の制約と現実的判断の両方を反映しています。しかし、エネルギーの供給者を守る行動に参加しないことが、長期的に日本の外交的立場にどう影響するかは、別の問いを生みます。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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