イラン核問題の迷路:地下施設に隠された真実
イランが高濃縮ウランを地下施設に貯蔵、IAEAの査察要求を拒否。米イラン間接協議も進展なく、核開発の実態は謎に包まれたまま。
440.9キログラム。これは国際原子力機関(IAEA)が昨年6月に確認したイランの高濃縮ウランの量だ。しかし今、その行方は誰にも分からない。
地下に消えた核物質
IAEAが2月27日に発表した報告書は、イランの核開発をめぐる新たな懸念を浮き彫りにした。イスファハン核施設の地下トンネル複合体に、兵器級に近い60%まで濃縮されたウランが貯蔵されているというのだ。
衛星画像は、地下施設の入口周辺で「定期的な車両の活動」を捉えている。しかし、IAEAの査察官は昨年6月以降、この施設への立ち入りを拒まれ続けている。イランは12日間戦争後、IAEAとの一部協力を停止し、「偏見がある」として国連機関を非難した。
見えない第4施設の謎
状況をより複雑にしているのは、イランが戦争前にイスファハンに建設中だった第4のウラン濃縮施設の存在だ。IAEAは「正確な位置を知らない」と報告書で認めており、稼働状況や核物質の有無も不明のままだ。
アリ・ハシェム特派員によると、「イラン人でさえもこれらの施設に入ることができない」状況だという。米イスラエルの爆撃により、施設周辺では大規模な工事が行われているが、内部の実態は謎に包まれている。
平行線の協議
ジュネーブで行われた3回目の米イラン間接協議も、目立った進展は見られなかった。イランのアッバス・アラグチ外相は、米国の「過度な要求」を停止するよう求めたが、具体的な内容は明かさなかった。
米国側は、イランに対して核インフラの完全解体、弾道ミサイル兵器庫の制限、地域同盟国への支援停止を要求している。一方、イランは査察への協力再開の条件として、IAEAの「偏見」是正を求めている。
日本への波紋
核不拡散体制の根幹を揺るがすこの問題は、唯一の被爆国である日本にとって特別な意味を持つ。日本政府は一貫してイランの核開発に懸念を表明してきたが、同時にエネルギー安全保障の観点から中東地域の安定も重視している。
トヨタやソニーなど、中東市場に展開する日本企業にとっても、地域情勢の悪化は供給チェーンや市場アクセスに直接的な影響をもたらす可能性がある。
記者
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