湾岸諸国、イラン攻撃で石油価格急騰—ホルムズ海峡封鎖の現実味
イランが湾岸6カ国に大規模攻撃を実施。石油タンカーがホルムズ海峡で立ち往生し、世界の原油20%の流通が脅威に。日本のエネルギー安全保障への影響を分析。
世界の原油の20%が通過するホルムズ海峡で、石油タンカーが立ち往生している。イランが湾岸諸国への大規模攻撃を開始してから6日目、エネルギー市場に激震が走っている。
連続攻撃で湾岸が戦場化
3月5日、クウェート、バーレーン、UAEが相次いでイランからの攻撃を受けた。クウェート軍参謀本部は「領空内で飛来物を迎撃中」とSNSで発表。UAEには131機のドローンと6発の弾道ミサイルが飛来し、首都アブダビの夜空が防空ミサイルで照らされた。
バーレーンでは同国最大の石油精製施設が直撃を受け、火災が発生。幸い負傷者はなく、火災は迅速に鎮火されたが、施設の損傷程度は調査中だ。
攻撃の発端は、米国とイスラエルが土曜日にイランに対して開始した軍事作戦。イラン国営メディアによると、これまでに1,230人が犠牲になっている。イランは当初、湾岸地域の米軍施設のみを標的としていたが、その後民間インフラにも攻撃範囲を拡大した。
エネルギー危機の現実化
最も深刻なのは、ホルムズ海峡での船舶航行への影響だ。同海峡は世界最重要な海上輸送路の一つで、全世界の原油輸出量の約20%がここを通過する。攻撃により多数のタンカーが海峡付近で足止めされ、石油・天然ガス価格が急騰している。
イランの攻撃は米軍関係者6人、イスラエル人11人、UAE市民3人の命を奪った。エネルギーインフラを狙った攻撃の増加により、湾岸諸国の石油生産・輸出能力への懸念が高まっている。
国際社会の対応と日本への影響
湾岸諸国首脳は「国際法違反」としてイランの攻撃を非難。米国と共同声明を発表し、「これらの攻撃に対する自衛権」を再確認した。一方、米国は軍事攻撃継続を表明しつつ、攻撃を受けた地域の外交施設の業務を停止。5日にはクウェート市の米国大使館も閉鎖された。
日本にとって、この状況は深刻なエネルギー安全保障上の課題となる。日本の原油輸入の約90%が中東に依存しており、ホルムズ海峡の封鎖は直接的な供給不安につながる。すでに国内のガソリン価格上昇が始まっており、製造業への影響も懸念される。
拡大する地域紛争の行方
注目すべきは、イランが攻撃対象を段階的に拡大していることだ。米軍施設から始まり、現在は民間のエネルギーインフラまで標的としている。これは単なる報復攻撃を超え、湾岸地域全体の不安定化を狙った戦略的行動と見られる。
湾岸諸国は高度な防空システムを保有しているが、131機ものドローンの同時攻撃は防御システムに大きな負荷をかけている。アルジャジーラの現地記者は「UAEの防空システムが連続攻撃により厳しい試練にさらされている」と報告している。
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