米・イラン間接協議、核危機回避への最後の機会か
トランプ大統領が軍事攻撃を示唆する中、ジュネーブで開催されている米・イラン第3回間接協議。外交解決の可能性と中東情勢への影響を分析。
2003年のイラク戦争以来最大規模の米軍展開が中東で進む中、ワシントンとテヘランの運命を左右する交渉がジュネーブで静かに行われている。
交渉の背景:なぜ今なのか
トランプ大統領は先月、イランの反政府デモ弾圧を受けて初めて軍事攻撃を示唆した。しかし焦点は次第にイランの核開発問題へと移った。米国とイスラエルは数十年間、イランが秘密裏に核兵器開発を進めていると非難してきた。
昨年6月、米国はイスラエルとともにイランの核施設3カ所を爆撃。トランプ氏は当時「施設は完全に破壊された」と述べたが、イランは攻撃後に濃縮活動を停止したものの、国際原子力機関(IAEA)の査察官による被害施設への立ち入りを認めていない。
現在イランは、核兵器非保有国としては唯一、兵器級に近いレベルまでウランを濃縮している。約400キロの高濃縮ウラン備蓄を保有し、これは核兵器数発分に相当する量だ。
対立する要求と妥協の余地
オマーンのバドル・アルブサイディ外相が仲介する今回の協議で、両国は異なる立場を鮮明にしている。
米国側の要求は明確だ。トランプ氏は火曜日の一般教書演説で「世界最大のテロ支援国家に核兵器を持たせるわけにはいかない」と述べ、イランに対し「核兵器は決して保有しない」という「秘密の言葉」を求めた。
一方、イランのアブバス・アラグチ外相は演説の数時間前、ソーシャルメディアで「いかなる状況下でも核兵器を開発することはない」と投稿。さらに「相互の懸念に対処し、相互利益を達成する前例のない合意を結ぶ歴史的機会がある」と表明した。
交渉の具体的内容は公表されていないが、地域ウラン濃縮コンソーシアムの創設や、イランの高濃縮ウラン備蓄の処理方法などが議題に上がっているとみられる。イラン側は見返りとして、経済を圧迫している制裁の解除を求めている。
軍事的圧力の現実
外交交渉と並行して、米国は「艦隊」と称される大規模な軍事力を中東に展開している。空母2隻を含む艦船、戦闘機、空中給油機など数千人規模の部隊が配備された。
米メディアの報道によると、トランプ政権は数日以内にイランの革命防衛隊や核施設への限定的攻撃を検討している。交渉が決裂した場合、アリー・ハメネイ最高指導者の体制転覆を目指す本格的な軍事作戦も選択肢に含まれるという。
統合参謀本部議長のダン・ケイン大将は、イラン攻撃が長期紛争に発展するリスクを警告したとされるが、トランプ氏は「容易に勝利できる」との見解を示している。
地域への波及効果
中東の米同盟国は、イラン攻撃が地域全体の紛争に発展することを懸念している。イランは米軍事資産とイスラエルへの反撃を予告しており、ガザのハマス、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派など「抵抗の軸」と呼ばれる代理勢力ネットワークを通じた報復も予想される。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、弾道ミサイルと代理勢力を含まない合意に反対を表明。イランを「イスラエルへの主要脅威」と位置づけ、体制転覆を目指す軍事作戦を支持している可能性がある。
日本にとっても、中東情勢の不安定化はエネルギー安全保障に直結する問題だ。ホルムズ海峡の封鎖や原油価格の急騰は、エネルギー輸入に依存する日本経済に深刻な影響を与えかねない。
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