インドのテック独立戦略はなぜ失敗したのか
Make in Indiaから見るテクノロジー・ナショナリズムの矛盾。製造業シェア低下、R&D投資減少の背景を分析し、日本企業への示唆を探る
14.7%。これは2022-23年のインドの製造業がGDPに占める割合です。1968-69年以来、最低の数字となりました。
「世界の新たな工場」を目指したはずのインドで、いったい何が起こったのでしょうか。
「Make in India」の壮大な約束
2014年、ナレンドラ・モディ首相が華々しく打ち出したMake in Indiaイニシアチブは、インドの製造業革命を約束していました。年間12-14%の工業成長率、2022年までに1億人の新規製造業雇用創出、製造業のGDPシェアを25%まで引き上げる——これらの目標は、1950年代の5カ年計画から直接引用されたかのような野心的なものでした。
政府は外国直接投資(FDI)に全面的に依存する戦略を採用しました。実際、FDI流入額は年間360億ドルから850億ドルへと急増しました。しかし、この印象的な数字の裏には暗い現実が隠されていたのです。
2020-21年の800億ドルの外国投資のうち、実際の製造能力に転換されたのはわずか210億ドルでした。残りの大部分は、ITサービスを中心とした9つの分野に集中し、製造業53分野への投資は全体の30%に過ぎませんでした。
研究開発投資の衰退が示すもの
より深刻なのは、国内イノベーション能力の壊滅的な衰退です。研究開発(R&D)支出は、2009-10年のGDP比0.83%から2020-21年には0.64%へと縮小しました。
民間部門のR&D投資シェアは45.2%から40.8%に低下し、インドは主要経済国の中で公的機関がR&D支出の半分以上を占める数少ない国となりました。これは強い国家能力の表れではなく、民間部門の撤退を意味しています。
一方、中国は劇的に異なる発展路線を歩み、世界のR&D支出に占めるシェアを22.8%まで押し上げました(2017年)。インドの2.9%との格差は歴然としています。
「自立インド」の皮肉な現実
2020年、モディ政権はMake in IndiaをAtmanirbhar Bharat Abhiyan(自立インド)へと再ブランド化しました。しかし、依存の深化を示す証拠が積み重なる中でも、政府は製造大国としてのインドの台頭を祝い続けました。
皮肉なことに、自立を謳ったプログラムは輸入依存を深化させ、製造業強化を意図した取り組みは主にサービス部門を支援する結果となったのです。
日本企業への教訓
インドの経験は、アジアで事業展開する日本企業にとって重要な示唆を提供します。トヨタやソニーといった日本企業の多くは、インドを重要な製造拠点として位置づけてきました。
しかし、インドの製造業基盤の脆弱性は、サプライチェーンの安定性に影響を与える可能性があります。特に半導体製造のような高度技術分野では、真の技術的自立なしには持続可能な発展は困難であることが明らかになりました。
グローバルサウスへの波及効果
この変革の影響はインドを超えて広がっています。半導体製造は依然として少数の先進国に集中しており、グローバルサウスの国々が重要なコンピューティングハードウェアの生産をコントロールする能力を制限しています。
ラゴスの活況なスタートアップエコシステムのような有望なソフトウェアイノベーションハブでさえ、多国籍企業の単なる人材プールや囚われた市場となるリスクに直面しており、インドのデジタル依存の下降軌道を再現する可能性があります。
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