インドのユニコーン、AIショッピング革命で日米市場攻略
ソフトバンク出資のInMobiが生成AI搭載チャットボットで日米のeコマース市場参入。IPO準備中の同社が描く「会話型ショッピング」の未来とは?
「商品を探すのではなく、商品があなたを見つける時代」——ソフトバンクが出資するインドのユニコーン企業InMobiの創業者兼CEO、ナヴィーン・テワリ氏は、生成AI搭載のショッピングチャットボットが消費者の購買体験を根本から変えると断言する。
同社は現在、日本と米国でAIエージェントを活用したeコマースサービスの展開を本格化している。従来の検索ベースのオンラインショッピングから、対話型AIが個人の好みを学習し、最適な商品を提案する「会話型ショッピング」への転換を狙う。
モバイル広告からAIコマースへの転身
InMobiは2007年設立のモバイル広告プラットフォーム企業として知られてきたが、近年は生成AIを核とした事業転換を進めている。テワリ氏によると、同社のAIエージェントは米国、日本、インドで着実にシェアを拡大しており、本国インドでのIPO準備と並行して海外展開を加速させている。
日本市場への参入は特に戦略的な意味を持つ。高齢化が進む日本では、複雑なeコマースサイトでの商品検索に苦手意識を持つ消費者が多い。AIチャットボットによる自然言語での商品相談は、こうした課題を解決する可能性がある。
実際、同社のAIは「母の日のプレゼントで5000円以内で何かおすすめはある?」といった曖昧な質問にも、過去の購買履歴や季節性を考慮した具体的な提案で応答できる。
日本企業への影響と競合構造
日本のeコマース大手である楽天やAmazon Japanにとって、AIショッピングの台頭は新たな競争軸となる。従来の「検索→比較→購入」のプロセスが「相談→提案→即決」に変わることで、消費者の購買行動パターンが大きく変化する可能性がある。
ソフトバンクの出資背景には、日本市場での同社サービス展開への期待もあるとみられる。孫正義氏が掲げるAI革命の一環として、リテール分野でのAI活用事例を作りたい思惑があるだろう。
一方で、日本の消費者は新しい購買体験に対して慎重な傾向もある。プライバシーへの懸念や、AIの提案に対する信頼性の問題をどう解決するかが普及の鍵となりそうだ。
グローバル展開の勝算
InMobiの強みは、インド市場で培った多様性への対応力にある。14億人の人口を抱えるインドでは、言語、文化、所得水準が大きく異なる消費者層に対応する必要があった。この経験は、日本や米国といった成熟市場でも活かせる資産となる。
テワリ氏は「AIショッピングは単なる効率化ツールではなく、消費者と商品の出会い方を再定義する」と語る。検索エンジンが情報収集を変えたように、AIエージェントがショッピング体験そのものを変革するというビジョンだ。
関連記事
SKハイニックスが時価総額1兆ドルを突破。サムスン電子に続き韓国勢2社が同時に1兆ドルクラブ入り。AI半導体需要がコスピ指数を牽引する構造的変化と、日本市場への影響を読み解く。
6月8日開幕のWWDC 2026を前に、AppleとGoogleの提携によるSiri刷新への期待が高まる。株価は8週連続で上昇し最高値圏に。AI戦略の転換が投資家と利用者に何をもたらすか。
AIが量子コンピュータの開発を加速させ、現在のブロックチェーンやインターネットの暗号化技術が近い将来破られる可能性が高まっている。日本企業と個人にとっての意味を深く掘り下げる。
中国の人型ロボット訓練センターでは、元美術教師が工場作業をロボットに教えている。北京が国家戦略として推進するヒューマノイドロボット産業の実態と、日本社会への示唆を読み解く。
意見
この記事についてあなたの考えを共有してください
ログインして会話に参加