インドの電気バス事故急増、運転手訓練不足が浮き彫りに
インドで電気バス事故が相次ぎ、技術より運転手訓練の重要性が浮上。日本の公共交通システムへの示唆とは?
18件の事故、そのうち6件が死亡事故——これは、インドのベンガルールで15か月間に発生した電気バス事故の数字です。ムンバイでも2024年12月から2025年1月にかけて2件の事故で12人が死亡しました。
問題は技術の欠陥ではなく、運転手の訓練不足にあることが明らかになっています。
急速な普及と訓練のギャップ
インドでは現在、50都市で1万台以上の電気バスが運行され、さらに2万台が調達予定です。しかし、この急速な拡大に運転手の訓練が追いついていません。
世界資源研究所インドの統合交通担当ディレクター、パワン・ムルクトラ氏によると、電気バスと従来のバスを含む事故の約60%が運転手のミスによるものです。「電気バスでは、技術や駆動システムに対する経験が不足している」と、イノベーション・ソリューションズのアメグ・ゴピナート氏は指摘します。
民間業者は重車両免許の確認と簡単な面接のみで運転手を雇用し、電気バス特有の訓練はほとんど行っていません。これは、運転手が厳格な初期訓練を受け、定期的な講習会やシミュレーターでの監視が行われる欧米市場とは対照的です。
構造的な問題:低賃金と労働環境
問題の根は深刻です。ベンガルール都市交通公社(BMTC)が雇用する運転手の月給は平均3万ルピー(約4万円)ですが、民間業者は2万2千ルピー程度しか支払いません。
この低賃金と劣悪な労働環境により、運転手の離職率が高く、多くがUberやOlaなどの配車サービスに転職しています。「長時間勤務と運転手の疲労による事故も報告されている」とムルクトラ氏は警告します。
都市交通エクセレンスセンターのシヴァナンド・スワミー氏は、「現在は移行期で、運転手の選択肢が限られている」と現状を説明しつつも、「すぐに状況は改善される」と楽観的な見方を示しています。
日本への示唆:技術と人材の調和
日本では高齢化と労働力不足が深刻化する中、公共交通の電動化も進んでいます。トヨタや日野自動車などが電気バス開発を進める一方で、運転手不足は全国的な課題となっています。
インドの事例は、技術導入時の人材育成の重要性を物語っています。日本の交通事業者は、電気バス導入に際して運転手への十分な訓練と適切な労働環境の確保が不可欠であることを認識すべきでしょう。
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