トランプ政権の移民摘発、ミネアポリス事件で戦略転換へ
ミネアポリスでの移民摘発中の死亡事件を受け、トランプ政権が戦略変更。ホーマン氏復帰で「よりスマートな法執行」へ転換も、大量強制送還は継続。
65%のアメリカ人が移民税関執行局(ICE)の摘発活動は「行き過ぎ」だと考えている。この数字が示すのは、トランプ政権の大量強制送還政策が思わぬ政治的リスクに直面していることだ。
ミネアポリス事件が変えた潮流
1月24日、ミネアポリスでの移民摘発作戦中にアレックス・プレッティ氏が国境警備隊員によって射殺された。この事件は、トランプ政権の移民政策チーム内の力学を一変させた。
事件後わずか数時間で、トム・ホーマン国境担当責任者はミネアポリスからの連邦部隊撤退を発表。一方、国土安全保障省のクリスティ・ノーム長官はアリゾナ州の国境で演説を行い、政権の結束をアピールした。しかし、注目すべきは誰が欠席していたかだ。
グレッグ・ボビーノ国境警備隊司令官—ロサンゼルス、シカゴ、ミネアポリスなど各都市での摘発作戦の顔となっていた人物—は姿を消していた。トランプ大統領は彼を「かなり突飛な人物」と呼び、ノーム長官の演説では名前すら言及されなかった。
「よりスマートな法執行」への転換
ホーマンの復帰は、政権の戦術的転換を象徴している。彼は街頭パトロールを終了し、ICE職員に対して犯罪者を優先する「より標的を絞った、規律ある作戦」への回帰を指示した。
「これはよりスマートな法執行であり、法執行の縮小ではない」とホーマンは語る。オバマ政権下でも勤務経験があり、2015年にはオバマ大統領から表彰を受けた彼は、ICEの正当性が攻撃される際の防御論理を熟知している。
現役ICE・CBP職員の多くがホーマンの復帰を歓迎している。彼らは、大量強制送還という目標は共有しつつも、より低調で挑発的でない手法の方が効果的だと考えているからだ。
政治的代償の拡大
スティーブン・ミラー上級顧問が主導する「衝撃と畏怖」戦術は、ICEの持続能力を大きく上回るペースで展開されていた。1700億ドルの予算で1万人の強制送還職員雇用と10万人収容可能な拘置施設建設を計画しているが、政治的資本の消耗は予算執行より早く進んでいる。
マリスト/PBS/NPR世論調査によると、65%のアメリカ人がICEの行き過ぎを指摘し、無党派層の3分の2がICEの活動に反対している。反ICE抗議運動への支持は新たな高さに達し、グラミー賞でのスピーチやブルース・スプリングスティーンの新曲「Streets of Minneapolis」など、文化的現象にまで発展している。
過去の教訓と現在の課題
興味深いことに、過去3代の政権すべてが移民政策の行き過ぎで躓いている。トランプ第1期政権では家族分離政策が大きな政治的失敗となり、バイデン政権は寛容すぎる政策で国境危機を招いた。
現在のトランプ政権は南部国境での混乱を解決する一方で、アメリカの都市部で新たな混乱を生み出している。1960年代以来最低レベルまで不法入国を減少させたが、都市部での摘発作戦が政治的反発を招いている。
共和党内でも亀裂が生じ始めている。ミシシッピ州のロジャー・ウィッカー上院議員は自身の選挙区でのICE拘置施設開設に反対を表明し、一部の共和党議員がノーム長官の指導力に疑問を呈している。
記者
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