グレンコア、リオ・ティント買収でシティ起用へ
世界最大級の資源企業同士の統合が現実味。日本の製造業や資源調達戦略にも大きな影響を与える可能性
世界の資源業界で1,500億ドル規模とも予想される巨大統合が動き出した。スイスの資源大手グレンコアが、英豪系鉱業大手リオ・ティントとの合併交渉に向けて、投資銀行シティグループをアドバイザーに起用する方向で最終調整に入っていることが、関係者の話で明らかになった。
業界再編の号砲
グレンコアの時価総額は約650億ドル、リオ・ティントは約950億ドル。両社が統合すれば、鉄鉱石、銅、アルミニウムなど主要鉱物資源で圧倒的な市場支配力を持つ巨大企業が誕生する。特に銅の分野では、世界シェアの30%を超える可能性もある。
背景には、電気自動車や再生可能エネルギー設備の急拡大がある。これらの技術には大量の銅やリチウム、レアアースが必要で、資源需要は今後10年間で2倍に膨らむとの予測もある。グレンコアは商品トレーディングに強みを持ち、リオ・ティントは高品質な鉱山運営で知られる。両社の統合は「採掘から販売まで」の一貫体制を構築し、価格決定力を大幅に高めることになる。
日本企業への波紋
日本の製造業にとって、この統合は複雑な意味を持つ。トヨタ自動車やパナソニックなど、電池材料を大量に必要とする企業は、調達コストの上昇を警戒している。一方で、三菱商事や住友商事などの商社は、新たな巨大パートナーとの関係構築に動き出す可能性がある。
日本政府も注視している。経済産業省は昨年、重要鉱物の安定調達を国家戦略に位置づけたばかり。資源の90%を輸入に依存する日本にとって、供給源の集約は安全保障上のリスクでもある。
規制当局の視線
統合が実現するかは、各国の競争当局の判断にかかっている。欧州委員会は既に予備的な検討を開始したとされ、中国当局も独占禁止法の観点から審査を行う構えだ。過去にも資源業界では、BHPビリトンによるリオ・ティント買収提案(2008年)が規制当局の反対で頓挫した例がある。
シティグループの起用は、グレンコアが本格的な統合戦略を描いていることを示している。同行は過去20年間で資源業界のM&Aを500件以上手がけた実績を持つ。ただし、交渉はまだ初期段階で、リオ・ティント側の反応は不明だ。
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