FRB据え置きでビットコイン失速、暗号資産投資家の期待が裏切られた理由
連邦準備制度理事会が金利据え置きを決定し、早期利下げ期待が完全に消失。ビットコインは8万9500ドル付近で停滞し、暗号資産市場に新たな試練が訪れている。
40%からゼロへ。わずか2か月でこれほど劇的に変化する投資家心理も珍しい。
1月29日、連邦準備制度理事会(FRB)は予想通り政策金利を据え置くと発表した。しかし、この「予想通り」という言葉の裏には、暗号資産投資家にとって痛烈な現実が隠されている。昨年11月中旬、予測市場は1月の利下げ確率を40%以上と見積もっていた。それが今週の会合直前にはほぼゼロまで下落していたのだ。
期待から絶望へ:2か月間の心理的転換
ビットコインは発表後も8万9500ドル付近で推移し、目立った反応を示さなかった。むしろ注目すべきは、この「無反応」そのものだろう。暗号資産市場は長らく金融緩和への期待で支えられてきたが、その前提が根底から覆されつつある。
FRBの政策声明は慎重な表現に終始した。「雇用の伸びは低水準にとどまり、失業率は安定の兆しを見せている」「インフレは依然としてやや高い水準」。この淡々とした文言の背後には、ジェローム・パウエル議長率いるFRBの微妙な立ち位置が透けて見える。
興味深いのは、今回の据え置き決定に2名の委員が反対票を投じたことだ。トランプ大統領が新たに任命したスティーブン・ミラン氏と、次期議長候補とも目されるクリス・ウォーラー氏がそれぞれ25ベーシスポイントの利下げを主張した。この内部対立は、FRB内部でも政策方向性に関する意見の分裂があることを示唆している。
日本の投資家が見落としがちな視点
日本の暗号資産投資家にとって、今回のFRB決定は二重の意味を持つ。まず、円安圧力の継続だ。米ドルが当日大幅に上昇したことで、円建てでの暗号資産投資収益率は実質的に目減りする可能性がある。
一方で、金価格が3.7%上昇し、1オンス5300ドル近くの記録的水準に達したことは注目に値する。日本の個人投資家の間で「有事の金」への関心が高まる中、暗号資産と貴金属の相関関係が変化している可能性がある。
LVRG Researchのニック・ラック氏は「FRBの決定は持続的なインフレ懸念と安定化する経済背景を反映しており、流動性が支援的である限り、暗号資産市場は短期的なボラティリティに直面する可能性が高い」と分析している。
3月、4月への期待も薄れる現実
市場参加者は3月の次回会合での利下げ再開を期待していない。CME FedWatchによると、その確率はわずか16%だ。4月でも30%程度にとどまっている。
この数字が意味するのは、暗号資産市場が長期間にわたって「高金利環境」と向き合わなければならないということだ。これまでの上昇相場を支えてきた「いずれ来る金融緩和」という前提が、少なくとも2026年前半においては成り立たない可能性が高い。
パウエル議長の記者会見(日本時間30日午前4時30分開始)では、より具体的な政策方針が示されるかもしれない。特に「higher-for-longer(より高く、より長く)」スタンスが強調されれば、リスク資産であるビットコインへの短期的な圧力は避けられないだろう。
関連記事
サムスン系3社がUpbit運営会社Dunamuの株式4%を約408億円で取得。カカオは1ヶ月足らずで約2,200億円分の株式を売却。韓国財閥と暗号資産市場の構造変化を読み解く。
イーロン・マスクがテスラとスペースXの合併を検討中。実現すれば約3,300億円相当のビットコインを保有する世界第5位の企業ビットコイン金庫が誕生する。日本市場への影響も含め多角的に分析。
暗号資産業界が支援する政治活動委員会がテキサス州予備選に900万ドル超を投じ、民主・共和両党で親クリプト候補を次々と当選させた。2026年中間選挙に向けた業界の政治戦略を読み解く。
ステーブルコイン市場規模が3220億ドルに達し、英国・カナダを含む95カ国の外貨準備高を上回った。資本のデジタル移行が加速する中、新興国通貨への影響と日本円の行方を読む。
意見
この記事についてあなたの考えを共有してください
ログインして会話に参加