「永遠の雪」が消える前に、人類は何を記録すべきか
インドネシア・パプア州の熱帯氷河が10年以内に消滅する。探検家クラウス・シーマンが命がけで挑んだ3Dマッピング任務が問いかけるもの——自然の記憶とは誰のものか。
赤道直下に氷河が存在する。多くの人が信じないこの事実は、400年前に欧州の探検家が同じ主張をして嘲笑されたときから、何も変わっていない。
消えゆく「永遠の雪」
標高16,024フィート(約4,884メートル)。インドネシア最高峰のプンチャック・ジャヤは、ニューギニア島の中央パプアに位置し、オセアニア全体でも最も高い山です。地元の人々はその氷河を「Salju Abadi(永遠の雪)」と呼び、パプア高地の文化的・環境的アイデンティティの一部として長年大切にしてきました。しかし科学者たちは、この氷河が10年以内に消滅すると予測しています。
プロの探検家であり環境写真家のクラウス・シーマンは、2025年11月、この消えゆく氷河を記録するために現地を訪れました。彼の使命は、東ノースウォール・ファーン氷河の世界初となる高解像度・地理参照3Dモデルを作成すること。ドローン写真測量と高精度の地理空間測量技術を組み合わせ、氷の表面積を正確に計算できるデータを残すことが目標でした。
しかしこの山へのアクセスは、科学的な困難だけではありません。プンチャック・ジャヤ周辺は、60年以上にわたる分離独立運動の舞台であり、インドネシア政府は現在、徒歩での登山ルート(通常5〜6日)を禁止しています。米国国務省は「レベル4:渡航禁止」を発令しており、「万が一人質になった場合に備え、家族の連絡担当者を一人指定するように」と勧告するほどです。
シーマン氏はヘリコプターで標高213フィートの町ティミカからベースキャンプへ飛びました。パイロットは14,000フィートを超えると純酸素を吸入しながら操縦するという状況の中、チームは氷河へと向かいました。
なぜ「熱帯氷河」は重要なのか
熱帯の氷河は、極地の影響を受けない場所に存在します。高度が生み出す低温のみによって維持されているため、わずかな気温上昇にも極めて敏感に反応します。気候科学者が「気候システムのカナリア」と呼ぶゆえんです。
パプアの氷河は、アフリカ東部のルウェンゾリ山地からボリビアのアンデス山脈まで続く「熱帯氷河の連鎖」の一部です。この三大陸にまたがる氷河群はいずれも急速に縮小しており、シーマン氏はそのすべての3Dモデル化を進めています。彼はこれを「視覚的なノアの方舟」と表現します——科学的精度で記録された、未来のための高解像度の記憶です。
現地での作業は決して順調ではありませんでした。ガイドが高山病で引き返し、シーマン氏は約20キログラムの測量機材を自ら背負いました。ドローンを飛ばして数百枚の重複写真を撮影し始めた矢先、雲が急速に下りてきて作業を中断せざるを得ませんでした。その後、5日間の雨が続きます。毎朝4時30分に起き、空を確認しては断念する日々。ようやく深夜1時45分に星が見えたとき、シーマン氏は翌朝5時に再び氷河へ向かいました。
採掘と溶解——同じ論理が動かす世界
シーマン氏が氷河へ向かうヘリコプターの窓から見下ろしたのは、世界有数の銅・金の埋蔵量を誇るグラスバーグ鉱山でした。この鉱山はプンチャック・ジャヤの山体そのものに位置しています。
「採掘という経済的論理——山から金属を工業規模で掘り出すことと、気候を不安定化させている排出と消費の論理は、同じものだ」とシーマン氏は記しています。1623年にオランダの探検家ヤン・カルステンスゾーンが「赤道近くに雪と氷河を見た」と報告して嘲笑された時代から400年。今や私たちは逆の状況に立たされています——氷河が消えることを信じようとしない人々、あるいは気候変動そのものを疑う人々の存在です。
日本にとって、この問題は遠い話ではありません。日本は南極観測や氷河研究において世界有数の実績を持ち、国立極地研究所をはじめとする機関が国際的な気候データ収集に貢献しています。また、日本企業が関わるサプライチェーンは東南アジア全域に広がっており、気候変動による水資源の変化や自然災害の激化は、製造業・農業・エネルギー分野に直接影響します。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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