中国軍最高幹部の失脚が示す習近平政権の新たな権力闘争
中国人民解放軍の重要人物である張又侠上将の失脚。汚職と諜報活動の疑いが浮上し、習近平政権下での軍事粛清の新たな局面を示している。
中国共産党の最高指導部で、軍事委員会副主席を務めていた張又侠上将が突如として姿を消した。75歳のこの重要人物は、習近平国家主席の長年の盟友として知られていたが、汚職と諜報活動の疑いで調査を受けているとされる。
軍事エリートの突然の転落
張又侠は中国人民解放軍(PLA)の最高幹部として、軍の近代化と改革を推進してきた中心人物だった。彼の父親は中国共産党の古参幹部であり、習近平の父親とも親交があったという「太子党」の一員でもある。
しかし、最近の公式行事から姿を消し、国営メディアでの言及も途絶えている。専門家によると、これは中国の政治システムにおいて、重要人物が調査対象となった際の典型的なパターンだという。
同時期に、元中央軍事委員会装備発展部部長の劉振立も同様の運命を辿っているとされ、軍の装備調達を巡る大規模な汚職ネットワークが存在する可能性が指摘されている。
習近平政権下での軍事粛清の加速
習近平が権力を握って以来、中国軍では前例のない規模の粛清が続いている。2015年以降だけでも、数十人の将軍級幹部が汚職や規律違反で処分されてきた。
今回の張又侠の失脚は、これまでの粛清とは質的に異なる意味を持つ。彼は習近平の信頼できる盟友として、軍の改革と近代化を主導してきた人物だからだ。この事実は、中国軍内部の腐敗がいかに深刻で、習近平の改革努力をもってしても根絶が困難であることを示している。
軍事専門家の分析によると、今回の粛清は単なる汚職摘発を超えて、軍の指揮系統における忠誠心の確認という側面も含んでいる可能性がある。特に、台湾問題や南シナ海での緊張が高まる中、軍の統制は習近平政権にとって死活問題となっている。
国際社会への影響と日本の視点
中国軍の内部粛清は、東アジアの安全保障環境にも影響を与える可能性がある。軍の指導部が不安定になることで、対外政策の一貫性や軍事作戦の効率性に疑問符が付く可能性があるからだ。
日本の防衛省関係者は、この状況を注意深く監視している。中国軍の内部混乱が、尖閣諸島周辺での活動や台湾海峡の緊張にどのような影響を与えるかは予測困難だが、短期的には中国の軍事的冒険主義が抑制される可能性もある。
一方で、習近平が軍の統制を強化するために、より強硬な対外姿勢を示す可能性も否定できない。権力基盤の安定化のために、外部の「敵」を明確にする戦略は、権威主義体制でよく見られる現象だからだ。
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