令状なしで家宅捜索するICE、憲法違反の境界線はどこに?
米移民税関執行局が令状なしで家宅捜索を実施。憲法修正第4条違反の疑いが浮上する中、法執行機関のデータ購入による監視拡大も問題となっている。
憲法が保障する令状主義を、法執行機関はどこまで無視できるのか。米国で今、この根本的な問いが現実のものとなっている。
令状なしの家宅捜索が常態化
移民税関執行局(ICE)が令状なしで住宅に押し入り、人々を逮捕している実態が内部告発により明らかになった。これは憲法修正第4条が禁じる「不合理な捜索・押収」に該当する可能性が高く、連邦裁判所も最近、こうした行為は違憲だと判断している。
ミネアポリスでは今週も抗議活動が続く中、ICEはミネソタ州を含む5州にわたる強制送還ネットワークの構築を計画している。国土安全保障省は「ICE職員の名前を公表することはドックシング(個人情報晒し)に等しい」と主張するが、WIREDの調査では、職員自身がLinkedInで頻繁に身元を公開していることが判明した。
問題はこれだけではない。法執行機関は長年にわたり、本来なら令状が必要な米国民のデータを企業から購入することで、憲法修正第4条を回避してきた。監視と医療アクセスの関係を調査した今週の報告書によると、広告技術による監視とICEの執行活動により、人々が医療を受けることを躊躇するケースが増えているという。
量子センサーとAIデータベースによる監視拡大
ICEの活動範囲は住宅捜索にとどまらない。税関・国境警備局(CBP)は今週、フェンタニル検出が可能な「量子センサー」と「AIデータベース」を組み合わせたシステムの導入を検討していることを明らかにした。移民当局が薬物捜査にも乗り出している形だ。
一方、サイバーセキュリティの分野では深刻な事態が発覚している。研究者が1億4900万件のログイン認証情報を含む無防備なデータベースを発見した。Gmail、Facebook、Appleから世界各国の政府システムまで、あらゆるアカウントの情報が含まれていた。発見者のジェレミア・ファウラー氏は、これらの認証情報が情報窃取マルウェアによって収集されたものと推測している。
日本への示唆:デジタル監視社会の境界線
米国の現状は、日本にとっても他人事ではない。日本でもマイナンバーカードの普及やデジタル庁の設立により、政府によるデータ収集・活用が拡大している。法執行機関によるデータ購入や監視技術の導入は、憲法が保障するプライバシー権との緊張関係を生み出す可能性がある。
特に注目すべきは、Microsoftが年間約20件の法執行機関からの要求に応じてBitLocker暗号化キーを提供している事実だ。日本企業も含め、クラウドサービス提供者は政府要求とユーザープライバシーの板挟みに置かれている。
TikTokが米投資家に売却された後、より多くのユーザーデータ(位置情報を含む)を収集し始めたことも、プラットフォームの所有構造とプライバシー保護の関係について重要な示唆を与えている。
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