イラン最高指導者死亡で中東の力の均衡が崩壊、新たな地政学的混乱へ
米イスラエルによるイラン攻撃で最高指導者ハメネイ師が死亡。死者1000人超、後継者選出が急務となる中、中東全域で報復攻撃が続き地域の安定が根本から揺らいでいる。
1000人を超える死者を出した米イスラエルによるイラン攻撃は、単なる軍事作戦を超えて中東の政治構造そのものを変えようとしている。
土曜日に始まった攻撃でアリ・ハメネイ最高指導者が死亡し、47年間続いたイスラム共和制の頂点が失われた。水曜日にはテヘラン、聖都コム、イスファハン州全域で新たな空爆が実施され、革命防衛隊の民兵組織バシジの施設や治安機関の建物が標的となった。
権力の空白が生む連鎖反応
イラン当局は後継者選出が「間もなく」と発表したが、戦時下での指導者交代は前例のない困難を伴う。モジュタバ・ハメネイ師が有力候補として名前が挙がる中、イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は「新しい指導者も排除の対象」と威嚇した。
予定されていたハメネイ師の葬儀は延期された。1000万人が参列した1989年のホメイニ師の葬儀を想起させる大規模集会は、攻撃の格好の標的となるリスクを抱えている。
一方、イランの報復攻撃も激化している。湾岸地域の米軍基地やイスラエルに向けたミサイル・ドローン攻撃により、迎撃された破片がトルコ領内に落下するなど、戦火は周辺国にも飛び火している。
日本への波及効果
この危機は日本にも深刻な影響をもたらす可能性がある。中東からの原油輸入に依存する日本経済にとって、ホルムズ海峡の封鎖リスクは看過できない。トヨタやソニーなどの製造業は、既に半導体不足に直面する中で、さらなるサプライチェーン混乱を懸念している。
国際原子力機関(IAEA)はイスファハン核施設近辺への攻撃を確認したが、核物質への直接的被害はないと発表した。しかし、核拡散防止体制の根幹を揺るがす事態に発展する恐れもある。
長期化する混乱の予兆
ドナルド・トランプ大統領は「数週間続く可能性」に言及し、「指導者になろうとする者は皆死んでしまう」と述べた。一方、イランのアラーグチ外相は「交渉のテーブルを爆撃で破壊した」とトランプ政権を非難している。
米上院は水曜日、トランプ大統領の戦争権限を制限する決議案を否決したが、戦争の長期化に伴い国内からの圧力も高まると予想される。ジョージタウン大学のポール・マスグレイブ教授は「トランプへの政治的制約は見た目以上に大きい」と分析している。
国連によると、2月28日から3月1日にかけて10万人がテヘランから避難した。民間人の犠牲者も増加しており、300人の子どもが入院、6000人以上が負傷している。
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