メモリ価格高騰が揺るがすテック業界の収益構造
シスコの決算でメモリ価格上昇による粗利率低下が明らかに。アップル、デル、HPも株価急落。AI需要がもたらす予期せぬ副作用とは。
10%を超える株価急落。シスコの決算発表が、テック業界全体に思わぬ波紋を広げている。
2月12日の米国市場で、ネットワーク機器大手シスコの株価が10%以上下落した。同社は前日夜に発表した第2四半期決算で売上高と利益予想を上回る好調な業績を示したにも関わらず、投資家の反応は冷ややかだった。
好決算なのになぜ株価急落?
シスコの決算内容は一見すると申し分なかった。ネットワーキング事業の受注は20%を超える成長を記録し、これで6四半期連続の二桁成長となった。AI関連ハードウェア需要の恩恵を受けた形だ。通年の利益予想も引き上げた。
しかし、投資家が注目したのは粗利率の低下だった。メモリ価格の上昇が収益性を圧迫していることが明らかになったのだ。シスコの経営陣は価格転嫁によって対応する方針を示したが、市場の懸念を払拭するには至らなかった。
連鎖反応:アップルからPC各社まで
この「メモリショック」はシスコにとどまらなかった。アップルの株価も3%を超える下落を記録。メモリを大量に使用するiPhoneやMac製品への影響が懸念されたためだ。
さらに深刻な打撃を受けたのがPC業界だ。デル・テクノロジーズは9%、HPは6%の下落となった。これらの企業にとってメモリは主要な部品コストであり、価格上昇は直接的に収益を圧迫する。
一方で、産業機械株は好調を維持している。デュポン、ハネウェル、イートンなどの銘柄は年初来で大幅な上昇を見せており、テクノロジー株からの資金流入が続いている。
AI需要の光と影
メモリ価格上昇の背景にあるのは、皮肉にもテック業界が期待するAI需要の拡大だ。データセンター向けの高性能メモリ需要が急増し、供給が追いつかない状況が続いている。
アップルについては、別の課題も浮上している。ブルームバーグの報道によると、同社が開発を進める新しいSiriのテストで問題が発生し、3月の全面展開から年内の段階的リリースに計画変更されたという。GoogleのGemini AIとの提携により機能向上が期待されていただけに、投資家にとっては二重の懸念材料となった。
日本企業への影響は限定的か
日本の主要テック企業への直接的な影響は現時点では限定的とみられる。ソニーのゲーム機やスマートフォン向けイメージセンサー、任天堂のゲーム機などは、PC・スマートフォンほどメモリ集約的ではない。
ただし、日本の電子部品メーカーにとっては複雑な状況だ。メモリ価格上昇は短期的には収益押し上げ要因となる一方、最終製品の需要減退リスクも抱える。
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