ヒズボラの「自滅的選択」が中東を再び戦火に
イランの最高指導者暗殺への報復でヒズボラがイスラエルを攻撃、レバノンが再び戦争に巻き込まれる。疲弊した組織の判断ミスか、それとも避けられない宿命か。
月曜日の朝、ベイルートの殉教者広場に避難民のテントが立ち並んだ。地中海沿いの遊歩道にも家族連れが荷物を抱えて座り込んでいる。南部の村々から逃れてきた数千人の人々だ。
この光景は、レバノンが再び戦争に引きずり込まれた瞬間を象徴している。シーア派武装組織ヒズボラが土曜日のイラン最高指導者ハメネイ師暗殺への報復としてイスラエルにロケット弾を発射し、イスラエル軍が南レバノンへの地上侵攻を開始したのだ。
予想された悲劇の始まり
今回の暴力の連鎖は「予想通り」だった。数ヶ月前から、イスラエル当局者らはヒズボラに対する作戦拡大を示唆していた。2024年の13ヶ月にわたる壊滅的な戦争を終わらせた停戦協定にもかかわらず、イスラエルはヒズボラの戦力再建を阻止するとして、ほぼ毎日レバノンへの爆撃を続けていた。
一方のヒズボラは、これまで沈黙を保っていた。どんな行動も強力な報復を招くことを理解していたからだ。しかし今回、おそらく後援者イランからの圧力により、ついに動いた。
結果は swift だった。イスラエルの空爆は南レバノン、東部ベカー高原、そしてヒズボラの拠点であるダーヒエ地区(ベイルート南部郊外)を襲った。レバノン保健当局によると、数十人が死亡している。
国内で孤立するヒズボラ
ヒズボラの決定は、多くのレバノン人から激しい批判を浴びた。これは、かつて支配的だった組織の地位低下を反映している。紛争に疲れ果てた国民の間で、ヒズボラへの支持は明らかに減少していた。
力関係の変化を象徴するように、レバノン政府はヒズボラの軍事活動を禁止し、武器の国家への引き渡しを要求した。ナワフ・サラム首相は「レバノン人の大多数の意志」を無視したヒズボラの攻撃を強く非難する声明を発表した。
1980年代にイスラエルのレバノン占領への抵抗として結成されたヒズボラ(「神の党」の意)。しかし2024年の戦争で組織は大きな打撃を受けた。長年の指導者ハッサン・ナスララをはじめとする幹部が暗殺され、多くの戦闘員が死亡し、強力な武器庫の一部が破壊された。
「自殺的任務」への疑問
ヒズボラに残された武器庫や戦闘力がどの程度なのかは不明だ。イスラエルのイスラエル・カッツ国防相が現在の事務総長ナイム・カセムを「排除対象」と明言する中、一部の専門家はこれを組織の「自殺的任務」と見ている。
「ヒズボラは罠にかかった。まさにイスラエルが望んだ状況だ」と、ベイルートのカーネギー中東センターのマイケル・ヤング上級編集者は分析する。「2024年に始まったことを完了させるため、イスラエルがヒズボラとその支持者を激しく攻撃するのを、もはや何も止められない」
昨年11月、私は廃墟と化した南レバノンの村々を訪れた。武装解除問題の膠着状態もあり、国際的な復興資金は拒否され続けている。そこで目にしたのは、長年の信念に疑問を抱き始める人々の姿だった。
日本への示唆:安全保障の複雑さ
この状況は、日本の安全保障政策にも示唆を与える。ヒズボラのような非国家主体が国家を戦争に巻き込む力を持つ現実は、東アジアでも無視できない。特に、地域の緊張が高まる中で、日本は同盟国との連携と独自の外交バランスをどう取るかという課題に直面している。
また、レバノンのように複数の宗教・民族集団が共存する社会での武装組織の役割は、多文化共生を進める日本社会にとっても考えさせられる問題だ。
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