残虐行為の定義が変える世界の見方
米国とイランの政府による殺害事件を同じ基準で評価する新研究が、人権侵害の隠れた実態と政治的偏見を浮き彫りに
47件。これは2022年に世界で確認された政府による「残虐行為」の件数だ。過去40年間で最高の数字である。しかし、この数字が示す現実は、私たちが想像するよりもはるかに複雑だ。
2026年1月、イランでは抗議デモの鎮圧で数千人が治安部隊に殺害された。同じ月、米国ミネアポリスでも2人の抗議者が法執行機関によって命を奪われた。米国では2025年だけで1,300人以上が警察によって殺害されている。
残虐行為の定義という難題
では、この2つの事件のうち、どちらを「残虐行為」と分類すべきだろうか。答えは思っているほど単純ではない。
辞書では「残虐行為」を恐ろしい邪悪な行為と定義するが、学術研究や国際人権法において合意された定義は存在しない。定義の問題は本質的に政治的だ。強力な国家は弱小国とは異なる扱いを受け、一部の政府は完全に監視の目を逃れている。
人権と残虐行為防止の専門家らが開発した新しい研究手法は、この不均衡に対処しようとしている。彼らは「残虐行為」を、政府やその代理人が1年間に民間人に対して広範囲な超法規的殺害を行い、同時に拷問、政治的投獄、強制失踪などの身体的完全性に関する権利を広範囲に侵害した場合と定義した。
データが明かす隠された現実
この基準を適用すると、驚くべき結果が浮かび上がる。米国は2025年時点で「中程度の残虐行為」を継続していると評価される。12,121人の民間人が過去10年間で法執行機関によって殺害され、2025年には警察が誰も殺さなかった日はわずか6日だった。
イランの場合は「高レベルの残虐行為」に分類される。抗議者の大量殺害に加え、拷問、政治的投獄、強制失踪、不当な拘束という4つの身体的完全性権利すべてが広範囲に侵害されているからだ。
1981年から2022年の期間で最も多く残虐行為を行ったのはインドとイラン(各38年)、続いてコロンビアとイラク(各36年)だった。しかし、時として米国、ブラジル、イスラエルといった、通常このようなリストに載らない国々も含まれる。
政治的力学の影響
国連安全保障理事会の5つの常任理事国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)は、拒否権を使って自国や友好国に対する制裁を阻止できる。米国はイスラエルのガザでの行為に対する国連の行動を繰り返し阻止し、ロシアと中国はシリアのアサド政権やミャンマーの軍事政権を守ってきた。
この政治的偏見は、日本の国際的立場にも影響を与える。日本は人権外交を重視する一方で、同盟国である米国の人権問題をどう扱うかという微妙な立場に置かれる。
早期認識の重要性
データによると、ほとんどの残虐行為は突然発生しない。広範囲な拷問、政治的投獄、労働者の集団的権利への攻撃、基本的自由の制限が、大規模殺害の前に長期間現れることが多い。
日本社会では、政府による暴力は稀だが、この研究は他国の状況を客観的に評価する重要性を示している。日本の外交政策や国際協力において、人権侵害の早期警告システムを構築することは、予防外交の観点から重要な意味を持つ。
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