シク教分離主義者暗殺計画、インド系米国人が有罪認める
インド系米国人がシク教分離主義指導者の暗殺計画への関与を認め、米印関係に新たな緊張をもたらしている。国境を越えた弾圧の実態とは。
国境を越えた暗殺計画は、もはや映画の中だけの話ではない。2026年2月14日、ニューヨークの連邦裁判所で、一人のインド系アメリカ人男性が衝撃的な事実を認めた。
明らかになった暗殺計画の全貌
54歳のニキル・グプタは金曜日、ニューヨーク在住のシク教分離主義指導者グルパトワント・シン・パンヌンの暗殺を企てた罪を認めた。グプタは2023年、殺し屋と信じた相手に1万5000ドルをオンラインで送金したが、実際の相手は米麻薬取締局(DEA)の協力者だった。
パンヌンは「シクス・フォー・ジャスティス」というニューヨークを拠点とする組織に所属し、インド北部のパンジャブ州の分離独立を主張している。同州には大きなシク教徒コミュニティが存在する。
FBIの捜査によると、グプタはインド政府職員の指示を受けて行動していた。現在も逃亡中のヴィカシュ・ヤダフというインド情報機関職員が計画を指揮し、2023年5月にグプタを勧誘したとされる。
なぜ今、この事件が重要なのか
この事件は単なる個人的犯罪ではない。米国とカナダの当局は、これをインドが海外の反政府活動家を標的とする広範な作戦の一部と見なしている。
実際、2023年にはカナダでもシク教分離主義者が殺害される事件が発生し、ジャスティン・トルドー首相がインド政府の関与を示唆する発言を行った。これらの疑惑はワシントン、オタワ、ニューデリーの関係に深刻な亀裂を生んでいる。
FBIのローマン・ロジャフスキー副長官は「パンヌンは言論の自由を行使しただけで、国境を越えた弾圧の標的となった」と述べた。これは民主主義国家にとって看過できない問題だ。
複雑に絡み合う利害関係
しかし、この問題は一筋縄ではいかない複雑さを持つ。インド政府はパンヌンを「テロリスト」に指定しており、いかなる暗殺作戦への関与も否定している。政府の政策に反するものだと主張している。
一方、パンヌン自身は「私はテロリストではない」とAP通信に語り、人権弁護士として「すべての宗教が平等な権利を持つ」パンジャブの実現を目指していると述べた。彼は「インド政府の銃弾を受ける覚悟はあるが、奴隷のように生きるために一歩も引き下がるつもりはない」と決意を示した。
金曜日の公判には約20人のシク教徒がパンヌンを支援するために出廷し、法廷外で黄色い「ハリスタン」の旗を振りながら祈りを捧げた。ハリスタンとは、彼らがパンジャブに代わって実現を望む独立国家の名称だ。
地政学的な波紋
日本にとって、この事件は遠い国の出来事ではない。インドはクアッド(日米豪印戦略対話)のパートナーであり、中国の台頭に対抗する重要な戦略的パートナーだ。しかし同時に、法の支配と民主的価値を重視する日本にとって、国境を越えた暗殺計画への関与疑惑は看過できない問題でもある。
グプタは20年から24年の刑期に直面し、5月29日に判決が言い渡される予定だ。しかし真の問題は、この事件が示す国家による越境弾圧の実態と、それが国際秩序に与える影響だろう。
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