クルド人は「解放」か、それとも「捨て駒」か
イランへの軍事作戦が続く中、米国はクルド人勢力を活用した体制転覆を模索している。だが歴史は、この戦略の代償を静かに問いかけている。
「クルド人に友人はいない。山だけが友だ」——中東に古くから伝わるこのことわざは、2026年の春、再び現実の重みを帯びつつある。
2026年2月28日、米国主導の対イラン爆撃作戦が開始された。砲煙がまだ晴れぬ翌日、ドナルド・トランプ大統領はイラク・クルディスタンの最高指導者2人——マスード・バルザーニとバフェル・タラバーニ——に直接電話をかけた。その意図は明白だった。
米メディアの報道によれば、CIAはイラン国内のクルド人反体制勢力への武器供与を積極的に検討しており、トランプ政権高官はイラク北部およびイラン北西部のクルド人指導者たちと協議を重ねている。さらに、イスラエルのネタニヤフ首相が数カ月前から米クルド協力を働きかけていたとも伝えられる。
なぜ今、クルド人なのか
イランのクルド人は、総人口の8〜17%を占める少数民族だ。1979年のイスラム共和国樹立以来、自治運動は武力で鎮圧され、指導者たちは処刑された。文化的表現は制限され、政党活動は禁じられ、活動家は公開処刑にさらされてきた。2022年、クルド系イラン人女性マフサ・アミニの拘禁死をきっかけに起きた全国抗議運動では、クルド人の町々が最も激しい抵抗の拠点となった。
トルコを拠点とする武装組織PKK(クルディスタン労働者党)と思想的に連携するイランのクルド武装組織PJAKは、20年にわたって断続的にイラン革命防衛隊と交戦してきた。現在の紛争においても、イランはすでにクルド人拠点に対して数十機のドローン攻撃を実施している。
ワシントンの戦略家たちが引かれる論理は単純だ。「低コスト、高効果」——米兵を一人も派遣せずに、イラン体制に内側から圧力をかけられる。だがこの論理は、かつてアフガニスタンでムジャヒディーンを支援し、シリアで反政府勢力に武器を供与した時にも使われた論理と同じだ。その後に何が起きたかは、歴史が証明している。
裏切りの記憶
クルド人は、この種の取引の結末を知っている。
1975年、イランのシャーとイラクのサダム・フセインがアルジェ協定を結んだ瞬間、米国とイスラエルが秘密裏に支援していたイラク・クルド人反乱軍への援助は一夜にして打ち切られた。指導者バルザーニの運動は数週間で崩壊し、イラク軍の報復によって数十万人のクルド人が故郷を追われた。当時の国務長官ヘンリー・キッシンジャーは後にこう語った。「秘密工作と慈善事業を混同してはならない」。
あれから半世紀が経った今も、クルド人指導者たちはその教訓を忘れていない。あるイラク・クルディスタン政府高官は最近、CNNにこう語った。「クルドの人々が圧倒的にイスラム共和国の体制に反対していることは疑いない。しかし彼らは、再び見捨てられることを恐れてもいる」。
同盟国との矛盾
戦略的な問題はさらに複雑だ。クルド人への本格的な武器供与は、NATO同盟国のトルコを激怒させる可能性が高い。アンカラはPKKおよびその関連組織——PJAKを含む——をテロ組織と認定しており、イラクとシリアで繰り返し越境軍事作戦を実施してきた。
皮肉なことに、2025年にはトルコとPKKの間で停戦に向けた重要な動きがあった。米国がPJAKを支援すれば、その和平プロセスを根底から揺るがしかねない。米国はシリアでも同様のジレンマを抱えた。イスラム国(IS)掃討のためにクルド人武装組織YPGを支援しながら、トルコには「一時的なものだ」と釈明し続けた。その結果として残ったのは、深い不信感だった。
地域への波及も懸念される。イランはすでにイラク・クルディスタンの山岳地帯にドローンやミサイルを撃ち込んでおり、越境活動を先制的に封じ込めようとしている。また、クルド人と同様に動向が注目される少数民族バルーチ人の武装組織も連合を形成しつつあるが、その活動はパキスタンの不安定化につながりかねない。
「解放」という名の賭け
倫理的な問いも避けられない。クルド人の政治的願望を、体制打倒のための「道具」として利用しながら、真の自治や独立国家への約束を何ら与えないとすれば、それは裏切りではないか。
米国の情報機関自身も、イランのクルド人勢力が現時点で持続的な蜂起を成功させるだけの影響力や資源を持っていないと評価している。クルド人政党は思想的にも組織的にも分裂しており、5つのイラン・クルド人組織が紛争直前に連合を結成したものの、それが持続するかどうかは不透明だ。トランプ政権内部からも「彼らは自分たちの利益を考えている」という懸念の声が漏れ聞こえてくる。
そして最も重い問いは、人道的な次元にある。クルド人の武装蜂起が起きれば、その戦場となるのはイラン北西部の民間人が暮らす地域だ。イラン体制は歴史的に、反乱への対応として集団的懲罰、処刑、国境村への砲撃を行ってきた。武器を供与することで、ワシントンが「支援する」と主張するまさにその人々を、より深刻な弾圧にさらすことになりかねない。
イランの体制は今、これまでにない極度の圧力下に置かれている。その圧力が変革をもたらす可能性はある。しかし、明確な政治戦略も「その後」のビジョンも持たないまま、急ごしらえの代理勢力によって銃口で押しつけられる「変革」は、解放とは呼べない。それは、米国が中東で半世紀にわたって繰り返してきた即興的な介入の、また一つの章に過ぎないかもしれない。
記者
関連記事
トランプ大統領が北京で習近平と首脳外交を演出。しかしその中身は、米国が20年かけて築いた対中戦略の解体に等しいと専門家は警告する。日本企業と同盟関係への影響を読む。
2026年、子どもがHIVに感染して生まれることは理論上ゼロにできる。なのになぜ、毎年12万人の子どもが今も感染するのか。米国の援助削減が揺るがす、30年間の医学的進歩の実態。
AIエージェントの台頭、サイバー攻撃の脅威、雇用喪失への不安——2026年、AIは米中関係から家庭の電気代まで、あらゆる問題に絡みついている。日本社会にとっての意味を読み解く。
トランプ大統領と習近平主席の北京サミットが終わった。米国の同盟国が抱いた「大きな不安」とは何か。ワシントンの記者たちが読み解く、この会談の本当の意味。
意見
この記事についてあなたの考えを共有してください
ログインして会話に参加