アマゾン、衛星1600基の期限延長を要請—宇宙ネット競争の新局面
アマゾンがProject Kuiper衛星配備期限の延長を申請。スペースX、ブルーオリジンとの打ち上げ契約拡大で宇宙インターネット競争が激化。
100兆円規模とも言われる宇宙インターネット市場で、アマゾンが重要な決断を下しました。同社は米連邦通信委員会(FCC)に対し、2026年7月までに約1600基の衛星を配備する義務の期限延長を申請したのです。
ロケット不足が生んだ想定外の遅れ
アマゾンが求めているのは24ヶ月の延長で、新たな期限は2028年7月となります。同社は遅延の理由として「ロケットの短期的供給不足」を挙げており、製造の混乱や新型打ち上げ機の故障・運用停止、宇宙港の能力制限なども影響していると説明しています。
興味深いのは、アマゾンが「衛星の製造は他社の打ち上げ能力を大幅に上回るペース」だと主張している点です。つまり、作ることはできても、宇宙に送ることができない状況が続いているのです。
同社は現在までに150基以上の衛星を打ち上げ済みで、7月30日までには約700基の配備を予定しています。これにより「世界で3番目から2番目に大きな衛星群」になると見込んでいます。
宇宙の主導権争いが本格化
アマゾンの「Amazon Leo」(旧Project Kuiper)の最大のライバルは、イーロン・マスク氏のスペースXが運営するStarlinkです。Starlinkはすでに9000基以上の衛星を軌道上に配備し、約900万人の顧客を抱えています。
しかし、アマゾンも反撃に出ています。同社はスペースXから10回、ジェフ・ベゾス氏のブルーオリジンから12回の追加打ち上げサービスを購入したと発表しました。ライバル企業のロケットを使ってでも、配備を加速させる戦略です。
日本の宇宙産業にとっても、この動きは無視できません。ソフトバンクはOneWeb(現在は仏Eutelsatが運営)に出資しており、600基以上の衛星を保有する第3の勢力として存在感を示しています。
日本市場への波及効果
衛星インターネットの普及は、日本の地方創生や災害対策に大きな可能性をもたらします。山間部や離島など、光ファイバーの敷設が困難な地域でも高速インターネットが利用できるようになれば、テレワークや遠隔医療の拡大が期待できます。
一方で、既存の通信事業者にとっては脅威でもあります。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクといった大手キャリアは、地上の基地局網に巨額の投資を行ってきました。衛星インターネットが本格普及すれば、これらの投資の価値が相対的に低下する可能性があります。
アマゾンは最低100億ドル(約1兆5000億円)をこのプロジェクトに投じる計画で、2月12日には仏アリアンスペースのロケットで次の32基を打ち上げ予定です。
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