GoogleがNvidiaを超えた夜:AI覇権の地図が変わる
AlphabetがNvidiaを時価総額で一時逆転。AI時代の「フルスタック戦略」が評価される一方、Anthropicへの依存集中リスクが浮上。投資家が知るべき構造的変化とは。
時価総額5兆2,000億ドルの王者が、一瞬だけ玉座を明け渡した。
今週火曜日の時間外取引で、Alphabet(Google親会社)がNvidiaを時価総額で一時逆転した。きっかけは、AIモデル開発企業AnthropicがGoogleクラウドに対して5年間で2,000億ドル(約29兆円)を支出するという報道だった。週末時点でAlphabetの時価総額は4兆8,000億ドルと、Nvidiaの5兆2,000億ドルにわずかに届かなかったが、この「逆転劇」は市場に強烈なメッセージを送った。
AIブームの「敗者」が、なぜ「勝者」になったのか
思い返せば2年前、Googleは生成AIブームの最大の被害者と見られていた。ChatGPTの登場で「検索の終焉」が叫ばれ、株価は低迷した。それが今、過去1年で株価は160%上昇。米国の7大テクノロジー企業の中で最高のパフォーマンスを記録し、2位のBroadcom(107%上昇)を大きく引き離している。
何が変わったのか。JPモルガンのアナリストは先週の決算発表後、Alphabetを「テクノロジーセクター全体のトップピック」と位置づけた。注目すべきは、クラウドの受注残高が前年比でほぼ倍増し、4,620億ドルに達したことだ。Mizuhoのアナリストも「市場のコンセンサス予測は、今後2年間のGoogleクラウドの収益と営業利益を著しく過小評価している」と指摘する。
投資家がGoogleを再評価した理由は、その「フルスタック戦略」にある。Deepwater Asset Managementのマネージングパートナー、Gene Munster氏はこう表現する。「Googleは、AIスタックのほぼすべてを自社で保有する2社のうちの1社だ。チップ、モデル、インフラ、そして流通網。しかも十分な収益性を持っている」。
具体的には、GeminiとDeepMindによるAIモデル開発、Google Cloudによるコンピューティング提供、そしてNvidiaのGPUに対抗する独自チップ「TPU(テンソル処理ユニット)」の展開がある。Mizuhoの試算では、2027年までのGoogleクラウドの受注残高のうち、TPU販売だけで約610億ドルを占める可能性があるという。
「オラクルの轍」という懸念
しかし、すべてのアナリストが同じ楽観論を共有しているわけではない。
D.A. Davidsonのアナリスト、Gil Luria氏は、今のGoogleの状況を昨年9月のOracleに重ねる。Oracleは受注残高が約360%急増したと発表し株価が急騰したが、その大部分がOpenAIとの1件の契約によるものだと判明した後、株価は5ヶ月で約半値に沈んだ。
「Googleも同じ手法を使った」とLuria氏は言う。「受注残高がほぼ倍増したと伝えたが、その増加のほぼすべてがAnthropicとの1件の取引によるものだとは言わなかった」。
報告された2,000億ドルのAnthropicのコミットメントは、Alphabetのクラウド受注残高の40%以上を占める計算になる。さらに深刻なのは、Anthropicは現在も多額の資金を燃やしているスタートアップであり、その運転資金の多くをGoogleからの投資に依存しているという構造だ。つまり、GoogleがAnthropicに投資し、AnthropicがそのカネでGoogleのクラウドを買う——この循環が、「有機的な需要」なのかどうかという疑問が生じる。
Luria氏はさらに広い視点でリスクを指摘する。Microsoft、Oracle、Amazon、Googleの4大クラウドプロバイダーが報告するクラウド受注残高の合計は、約2兆ドルに迫る。その約半分が、OpenAIとAnthropicという2社のコミットメントに由来するという。これら2社は同時に、この同じクラウド企業群から巨額の資金調達を行っている。
日本企業と投資家への示唆
この構造変化は、日本市場にも無縁ではない。
まず、TPUの台頭はソニーやキオクシアなど日本の半導体・電子部品メーカーにとって複雑なシグナルだ。Nvidiaへの依存を分散しようとするクラウド企業の動きは、サプライチェーン全体の再編につながる可能性がある。
次に、日本の大手企業が生成AIの導入を加速する中、どのクラウドプラットフォームを選択するかという問題が経営課題として浮上している。GoogleクラウドとAWS、Azureの三つ巴の競争が激化する中、日本法人への営業攻勢も強まるだろう。
そして投資家の視点から見ると、Alphabetは今年、設備投資を最大1,900億ドルと計画している——これは2025年の2倍以上だ。Argusのアナリストは「設備投資のリスクは顕著だ」としつつも、OpenAIのような競合と異なり、Googleがこの投資を自己資金で賄える点を「競争上の優位性」と評価している。
Munster氏が最も警戒するのは、外部の競合ではなく「株価がすでに将来の成長を織り込んでいる」ことだという。Nvidiaが今月末に発表予定の決算で78%の増収が予測されているにもかかわらず、株価の年初来上昇率が15%にとどまっている現象が、その典型だ。「Googleが抱える最大のリスクは、投資家のナラティブを変える機会がないことだ」と彼は語る。
その試金石となるのが、2週間後に開催されるGoogle I/Oだ。Geminiのエージェント戦略の具体像と、AIエコシステムから持続可能な収益を生み出す道筋を示せるかどうか——それが次の評価を決める。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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