ウクライナ、ドンバス非武装地帯化を提案―ゼレンスキー大統領が20項目の和平案を発表
ウクライナのゼレンスキー大統領が、ドンバス地域とザポリージャ原発周辺の非武装地帯(DMZ)化を含む20項目の和平案を提示。停戦に向けた大きな譲歩案だが、ロシアの反応とNATO加盟問題が焦点となる。
停戦か、それとも領土の譲歩か?ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍の攻勢とアメリカのドナルド・トランプ大統領からの停戦圧力が高まる中、ウクライナ東部のドンバス地域を非武装地帯(DMZ)にする用意があると表明しました。これは、ロシア側も同地域からの軍撤退を約束することが条件とされています。この提案は、12月24日にゼレンスキー大統領が明らかにした20項目からなる和平案の核心部分です。この案には、現在ロシアが管理するヨーロッパ最大のザポリージャ原子力発電所周辺の非武装地帯化も含まれています。
和平案の主な争点
ゼレンスキー大統領が記者団に説明した和平案は、アメリカとウクライナの交渉担当者がフロリダで策定したものです。交渉の焦点は3つに絞られます。第一に、NATO加盟問題です。ロシアとトランプ政権はウクライナの中立化を求めていますが、ゼレンスキー大統領は「加盟はNATOが決めること。我々の選択は変わらない」と述べ、憲法改正を拒否する姿勢を崩していません。
第二に、領土の譲歩です。ゼレンスキー大統領は、軍の撤退を伴ういかなる提案も国民投票にかける必要があると強調しました。多くの専門家は、ウクライナがロシア占領地の領有権を公式に放棄せずとも、実効支配が及んでいない現実を認める「中間地点」を見つける必要があると見ています。第三の選挙については、和平合意が締結された後にのみ大統領選挙を実施するとしています。
非武装地帯は機能するのか?
提案されたDMZは、現在ウクライナ軍が支配するドンバスの一部地域を対象としています。ロシアはルハンシク州のほぼ全域とドネツク州の70%を占領しており、この提案が受け入れられるかは不透明です。ロンドン大学キングス・カレッジのアナリスト、マリーナ・ミロン氏はアルジャジーラに対し、「戦場で優位に立っているロシアがドンバスから軍を撤退させるとは考えにくい」と指摘。この提案は、和平への意欲を示すことでロシアに外交的圧力をかけるウクライナの戦術だと分析しています。
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は12月25日、「和平案に対する立場を形成中だ」と述べるにとどめ、具体的な言及は避けました。
歴史が示すDMZの成否
非武装地帯は、1953年に設立された朝鮮半島のDMZのように大規模な軍事衝突を防ぐ上で大きな成功を収めた例もあります。一方で、ゴラン高原やシナイ半島では限定的な衝突抑止効果しかなく、タイとカンボジアの国境紛争では今年に入っても死者を出す衝突が起きており、その有効性は状況によって大きく異なります。
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