豚脂(ラード)は健康の敵ではない?体脂肪を減らす可能性、中国の最新研究が常識に挑む
長年健康に悪いとされてきた豚脂(ラード)が、実は体脂肪と炎症を減らす可能性があるという中国の最新研究が登場。栄養学の常識に挑戦するこの発見の意味を解説します。
長年、健康に悪いとされてきた動物性脂肪。しかし、その常識が覆されるとしたらどうでしょうか?中国の科学者たちによる新たな研究が、適度な量のラード(豚脂)摂取はむしろ健康に良い可能性があると示唆し、栄養学界に波紋を広げています。
研究が示す「ラードの利点」
学術誌「npj Science of Food」の今月号に掲載された論文によると、適度な量のラードを含む食事は、体脂肪の蓄積と炎症の両方を減少させる可能性があることが明らかになりました。この研究は、湖南農業大学、南華大学、長沙市農業農村局の科学者チームによって行われました。
研究チームは、「これらの発見は、動物性脂肪に関する従来の見解に挑戦するものだ」と記述しています。論文によれば、食事による脂肪が総エネルギーの25%を占める推奨レベルでラードを摂取すると、脂肪組織の恒常性を調節することで代謝上の利点がもたらされる可能性があるとのことです。
中国における「脂肪のパラドックス」
この研究の背景には、中国における健康と脂肪摂取のパラドックスがあります。中国では、植物油などに含まれる不飽和脂肪酸をラードのような動物性脂肪の飽和脂肪酸よりも優先して摂取することが長年推奨されてきたにもかかわらず、肥満率は上昇を続けています。
中国の国家食事ガイドラインでは、成人は1日の調理油を25〜30グラムに抑え、飽和脂肪とコレステロールが多い脂肪分の多い肉や動物の内臓の摂取を制限するよう推奨しています。今回の研究結果は、こうした既存の指針に一石を投じるものです。
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