1700億ドルの巨大追放マシーン:トランプ政権が再編した連邦政府と移民政策の変貌
トランプ政権発足から1年。1700億ドルの予算を背景に、ICEやCBPなどの連邦機関が移民追放のために再編されました。民兵ではなく国家機関が主導する、かつてない規模の移民政策の現状と、内陸都市にまで及ぶ監視の網がもたらす人権への懸念をChief Editorが分析します。
右派民兵組織は出番を待っていましたが、その電話が鳴ることはありませんでした。ドナルド・トランプ政権が発足して1年、大規模な移民追放作戦を担っているのは民間の武装集団ではなく、かつてない規模の予算と権限を与えられた連邦政府そのものです。ホワイトハウスは外部の力を借りる代わりに、既存の法執行機関を根本から再編し、米国内のコミュニティにその触手を伸ばしています。
1700億ドルの巨額予算と連邦機関の「再利用」
トランプ政権は今年7月、「One Big Beautiful Bill」の一環として、今後4年間の移民および国境管理費用に1700億ドルの予算を承認しました。そのうち750億ドルがICE(移民税関捜査局)に直接投入されており、これによりICEは歴史上最も多額の予算を持つ連邦法執行機関となりました。
特筆すべきは、本来の任務とは異なる機関が移民取り締まりに動員されている点です。本来は薬物やテロを追うFBIやDEA(麻薬取締局)の捜査官までもが、低レベルの移民逮捕のためにリソースを振り向けられています。アメリカ移民評議会のナイナ・グプタ氏は、「連邦政府全体が大規模な追放を支援するために事実上再編されている」と指摘しています。
国境警備隊の内陸進出と人権懸念
さらに、2025年10月下旬からは、CBP(税関・国境警備局)の職員が米国内各地のICE指導的ポストに配置されるという異例の事態が起きています。国境警備を主業務とするCBPが、シカゴやニューヨークといった内陸都市での取り締まりを主導しているのです。
国境警備隊は虐待と免責の文化を持つ機関です。彼らの排外主義的な感覚がアメリカの内陸都市に持ち込まれることは、市民権にとって災厄のレシピとなります。
また、地方の法執行機関を移民取り締まりに協力させる「287(g)プログラム」の参加数は、2024年末の125機関から、2025年11月25日時点では1200機関以上にまで急増しました。全米のコミュニティに「ミニICE」が誕生しているのが現状です。
記者
関連記事
国際刑事裁判所(ICC)は、フィリピン元大統領ロドリゴ・ドゥテルテの裁判を2026年11月30日に開始すると決定。人道に対する罪3件で起訴された81歳の元指導者の裁判は、国際法と東南アジア政治の行方を占う試金石となる。
トランプ政権が推進するホワイトハウス新宴会場の建設費用は当初の2億ドルから10億ドル超に膨張。連邦裁判所の差し止め命令と議会の反発を受けながら、政権は銃撃事件を「安全保障上の緊急性」として建設継続を正当化しようとしています。
中国の職業高校で義務付けられたインターンシップ制度。16〜17歳の学生が過酷な労働環境で命を落とした事例が報告され、国際社会と企業の責任が問われています。日本企業のサプライチェーンにも無縁ではありません。
トランプ大統領が湾岸諸国の要請を受け、火曜日に予定されていたイラン攻撃を延期。核交渉が続く中、ホルムズ海峡封鎖が世界のエネルギー市場を揺るがしている。日本への影響を含めて考察する。
意見
この記事についてあなたの考えを共有してください
ログインして会話に参加