CO₂から服を作る:廃棄物ゼロの繊維革命は本物か
スタートアップRubiが二酸化炭素を原料にセルロース繊維を製造する技術を開発。H&MやPatagoniaも注目する750万ドル調達の実態と、ファッション産業の廃棄問題への影響を解説。
毎秒、ゴミ収集車1台分の衣類が廃棄されている。それでも私たちは服を買い続ける。
ファッション産業が排出する温室効果ガスは、国際航空と海運を合わせた量を上回るとされています。「サステナブルファッション」という言葉が飽きるほど聞かれるようになった今も、この数字はほとんど改善されていません。問題の根本にあるのは、繊維そのものの作り方です。
「生物の仕組みを細胞の外に持ち出す」
カリフォルニアのスタートアップ Rubi は、この問題に正面から挑んでいます。同社が開発したのは、廃棄された二酸化炭素(CO₂)を原料に、酵素を使ってセルロースを生成する技術です。セルロースはレーヨンやリヨセルといった繊維の主原料で、現在は主に木材パルプ——場合によっては原生林から——から採取されています。
共同創業者兼CEOの ネエカ・マシュフ 氏は、「基本的に生物学の仕組みを細胞の外に取り出している」と表現します。彼女はハーバード医科大学院で医学を学んでいた双子の姉妹 レイラ 氏とともに会社を立ち上げました。科学者として新素材を研究していたネエカ氏と、医学の知識を持つレイラ氏が着目したのが「酵素」でした。
酵素は決して新しい技術ではありません。高果糖コーンシロップの製造や廃水処理にも広く使われており、「産業規模のキャパシティはすでに存在し、コストも非常に低くできる」とマシュフ氏は言います。Rubiはこの酵素を「カスケード(連鎖)」方式で組み合わせ、AIと機械学習を用いて各酵素の効率と安定性を向上させました。
実際のプロセスはシンプルです。酵素が水溶液の中に浮かんでいる状態でCO₂を加えると、数分以内にリアクター内に白いセルロースが現れます。このリアクターは輸送用コンテナサイズのモジュールに収まります。
750万ドル調達、6,000万ドル超の購買予約
Rubi は今回、AP Ventures と FH One Investments が主導するラウンドで 750万ドル(約11億円)を調達しました。出資者には CMPC Ventures、H&Mグループ、Talis Capital、Understorey Ventures が名を連ねます。
注目すべきは資金調達額だけではありません。同社はすでに 6,000万ドル(約90億円)を超える非拘束的な購買予約契約を複数のパートナーと締結しています。パイロットパートナーには H&M、Patagonia、Walmart を含む15社が参加しており、技術の実用化に向けた関心の高さがうかがえます。
今回調達した資金は、デモンストレーション規模の生産システム構築に充てられます。このシステムはCO₂を主原料として数十トンの素材を生産できる設計です。将来的には連続生産への移行も計画されており、マシュフ氏は「これはプラットフォームだ」と強調します。アパレル以外にも、セルロースを使うあらゆる産業への展開を視野に入れています。
ファッション産業、環境問題、そして日本との接点
この技術が日本市場にとって持つ意味は、決して小さくありません。日本は世界有数のアパレル消費国であり、ユニクロ を擁する ファーストリテイリング や レナウン(現在は経営破綻)などのブランドが長年にわたり大量生産・大量消費のビジネスモデルを展開してきました。
一方で、日本政府は2050年カーボンニュートラルを宣言しており、繊維産業のサプライチェーン見直しは避けられない課題です。現在、日本国内でテキスタイルグレードのセルロースパルプを生産できる体制はほぼ存在しないとされており、Rubiが指摘するアメリカの状況と重なります。
素材科学の観点からも、日本の研究機関や化学メーカー(東レ、帝人 など)がこの技術に注目する可能性は十分あります。酵素工学やバイオ素材は、日本が強みを持つ分野でもあるからです。
ただし、課題もあります。デモンストレーション規模から商業規模への拡大は、多くのバイオテック系スタートアップが直面する「死の谷」です。数十トンの生産能力を、アパレル産業が必要とする数万トン規模に引き上げるには、技術的・資金的な壁があります。また、CO₂をどこから調達するのか——工場の排気ガスなのか、大気中から回収するのか——によって、コストと環境負荷は大きく変わります。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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