145年前の白人至上主義者の論理が、今アメリカの法廷に蘇る
トランプ政権が主張する出生地主義市民権の否定。その法的根拠は、19世紀の白人至上主義者が唱え、提唱者自身が撤回した理論だった。憲法修正第14条を巡る攻防を読み解く。
145年前に提唱され、提唱者自身が「機能しない」と撤回した法的理論が、2026年のアメリカ最高裁の法廷に姿を現しています。
何が起きているのか
トランプ大統領は2025年1月、就任からわずか3日後に、不法滞在の親や一時的な滞在許可しか持たない親から生まれた子どもの市民権を否定する大統領令に署名しました。これに対し、レーガン政権時代に任命されたジョン・コーグノー判事は即座に差し止め命令を下し、「40年以上裁判官を務めてきたが、これほど問いが明確な案件は記憶にない」と述べました。
その後、複数の連邦裁判所が同様の差し止め命令を出し、現在この問題は最高裁判所の案件 Trump v. Barbara として審理されています。
法的な構図は、一見シンプルです。憲法修正第14条は「合衆国内で生まれたすべての人は市民である」と明記しており、1898年の最高裁判決 United States v. Wong Kim Ark がこの原則を確認しています。例外は外交官の子どもなど、米国法の管轄外にある人々に限られます。
論拠の起源——19世紀の白人至上主義者にたどり着く
では、なぜトランプ政権はこの訴訟を起こしたのでしょうか。その答えは、政権側の法的主張の中に隠れています。
法学者サム・アーマンと歴史家ネイサン・パール=ローゼンタールの研究によれば、トランプ政権の準備書面はアレクサンダー・ポーター・モースという19世紀の弁護士の著作を2度引用しています。モースは後に、人種隔離を合憲とした悪名高い判決 Plessy v. Ferguson(1896年)で差別側の弁護を担当した人物です。
モースは1881年の著書の中で、「合衆国内に一時的に滞在する外国人の子ども」は市民権条項の対象外だと主張しました。この主張の真の目的は、カリフォルニア州などに多く住んでいた中国系移民の子どもたちから市民権を剥奪することでした。当時の反中国人感情を背景に、「中国人はアメリカ社会に同化できない本質的に異質な存在だ」という偏見が、「彼らは永住する意図を持たない一時滞在者だ」という法的論理に変換されていったのです。
しかし、この論理には根本的な欠陥がありました。個々の移民が「永住の意図を持つかどうか」は、実際の証拠に基づいて判断しなければなりません。中国系移民の権利擁護団体は優秀な弁護士を確保し、実際にカリフォルニアに根を張って生活している移民の事例を次々と提示しました。法廷では、モースの理論は通用しなかったのです。
モース自身も1884年、わずか3年後にアメリカ法曹協会の演説で自説を撤回し、「親の永住性を基準とする市民権の判断は、実用的な判断基準として機能しない」と認めています。
なぜ今、この議論が重要なのか
トランプ政権の準備書面の核心部分(26〜28ページ)は、19世紀から20世紀初頭の書籍や法律評論から取られた引用文のリストで構成されています。これらはすべて、モースと同じ目的——中国系・非ヨーロッパ系移民の市民権を否定すること——を持つ論者の著作です。
重要なのは、これらの議論が当時「広く受け入れられていた」わけではないという点です。1898年の Wong Kim Ark 判決は、中国系移民の子どもとして生まれた黄金徳(ウォン・キム・アーク)の市民権を認め、出生地主義を明確に確認しました。最高裁はモースらの議論を退けたのです。
今回の Trump v. Barbara は、最高裁が128年前に決着をつけた問題を再び問い直すことを政権が求めている、という点で異例の案件です。
異なる視点から考える
政権側の支持者は「不法移民問題の深刻化」や「出生ツーリズム(市民権取得を目的とした出産旅行)」を問題として挙げます。確かに、出生地主義を採用している国は世界的に見ると少数派であり、日本を含む多くの国が血統主義(親の国籍を子が引き継ぐ)を採用しています。
一方、憲法学者の多くは、修正第14条の文言と判例法理は明確であり、行政命令で変更できるものではないと指摘します。変更するためには憲法改正——上下両院それぞれ3分の2以上の賛成と、全州の4分の3の批准——が必要です。
日本に住む人々にとっても、この問題は無縁ではありません。 アメリカで生まれた日本人の子どもの市民権、在米日系人コミュニティの法的地位、さらにはアメリカの移民政策の方向性が、日米関係や在米日本企業の従業員の生活にも影響を及ぼす可能性があります。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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