最高裁判決でトランプ氏の対中戦略に暗雲、習主席との会談前に「切り札」失う
米最高裁がトランプ大統領の「相互」関税を違憲と判断。3月末の習近平主席との会談を前に、交渉力低下は避けられない情勢。日本企業への影響も注目される。
3月末の北京訪問を控えたドナルド・トランプ大統領にとって、これ以上ないタイミングでの「痛手」となった。米最高裁判所が大統領の包括的な「相互」関税政策を違憲と判断したのだ。
最高裁判決の衝撃
トランプ政権が導入した相互関税制度は、貿易相手国が米国製品に課す関税と同等の税率を自動的に適用する仕組みだった。しかし最高裁は、議会の承認なしに大統領が一方的に関税を設定することは憲法に反するとの判断を下した。
この判決により、中国製品に対する最大30%の追加関税が即座に無効となり、既に徴収された関税の返還も検討されている。アナリストらは、この決定がトランプ氏の対中交渉における「最大の切り札」を奪ったと分析している。
習主席との会談に暗雲
ピーターソン国際経済研究所のマーカス・ノーランド氏は「タイミングが最悪だ」と指摘する。「トランプ大統領は関税という圧力手段を失ったまま、習近平主席と向き合わなければならない」。
中国側の反応も興味深い。北京の外交筋は判決を「両刃の剣」と表現している。一方では米国の圧力が弱まることを歓迎しつつ、他方では予測可能性の低下を懸念しているのだ。
日本企業への複雑な影響
日本企業にとって、この展開は複雑な意味を持つ。トヨタやソニーなど、中国に生産拠点を持つ企業は一時的な恩恵を受ける可能性がある。しかし、米中関係の不安定化は長期的なサプライチェーン戦略の見直しを迫ることになりそうだ。
特に注目されるのは、トランプ政権が判決への対応として検討している新たな10%の包括的関税だ。これが実現すれば、日本からの輸出にも直接的な影響が及ぶ可能性がある。
通商政策の新たな局面
今回の判決は、米国の通商政策における大統領権限の限界を明確にした。議会の関与なしに大規模な関税政策を実施することの困難さが浮き彫りになったのだ。
しかし、トランプ政権は早くも代替案の検討に入っている。国家安全保障を理由とした輸入制限や、個別品目への限定的な関税適用などが選択肢として挙がっている。
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