トランプ関税の混乱、市場に再び影を落とす
EU・米国貿易協定が一時停止、最高裁判決にもかかわらずトランプ氏は新たな関税戦略を展開。株式市場は不安定な状況に
15%の関税率で合意していたはずの米欧貿易協定が、突然の暗礁に乗り上げた。問題は欧州側にあるのではない。米国最高裁判所がトランプ大統領の一方的な関税権限を否定したことで、欧州議会が協定批准を一時停止したのだ。
最高裁の判決が引き金に
最高裁は国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくトランプ氏の包括的な「解放の日」関税に対し、大統領には一方的な権限がないとの判決を下した。これを受けて欧州議会の主要政治会派は、トランプ氏の関税戦略の実際の法的根拠が明確になるまで、立法承認を保留すると決定した。
米国税関・国境警備局は火曜日午前0時1分をもって、違法とされたIEEPA関税の徴収を停止すると発表。しかし、トランプ氏は即座に新たな迂回策を発表した。1974年通商法第122条に基づく15%の全世界対象関税である。
昨夏にトランプ氏とウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長が交渉した米欧貿易協定では、EU製品の対米輸出に15%の関税率を適用する一方、欧州向け米国工業製品の関税を撤廃する内容だった。欧州議会は3月の批准を目指していたが、その予定は宙に浮いた状況だ。
日本企業への波及効果
関税政策の混乱は日本企業にも直接的な影響を与える。トヨタやソニーなど、米国市場に大きく依存する日本の多国籍企業は、予測困難な貿易環境での戦略見直しを迫られている。特に自動車産業では、サプライチェーンの複雑性から関税変更の影響が長期化する可能性が高い。
興味深いのは、すでに徴収された関税の扱いだ。最高裁判決により、約1500億ドルの関税収入が返還リスクにさらされているが、裁判所はその処理を他に委ねた。一方で第232条に基づく鉄鋼・アルミニウム関税は当面継続される。
市場の動揺と不確実性
金融市場は即座に反応した。S&P500とダウ工業株30種平均の先物は約0.5%下落、ナスダックは0.6%の下げを記録した。恐怖指数とされるVIXは8%近く急騰し、投資家の不安心理を如実に表している。
トランプ氏は最高裁の判決を厳しく批判したが、2025年末の懐疑的な質疑を考えれば、この判決は部分的に予想されていたものでもあった。問題は、法的根拠を変えながらも関税政策を継続するという大統領の意志が、国際貿易システムに与える長期的な影響だ。
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