トランプ政権、移民取締り抗議への連邦介入を制限
トランプ大統領が民主党系都市での抗議活動に対する連邦政府の介入を制限すると発表。ミネアポリスでの大規模移民取締り作戦が引き起こした抗議の拡大を受けた方針転換の背景とは。
3,000人の連邦捜査官が投入された史上最大規模の移民取締り作戦が、アメリカの連邦制度そのものを揺るがしている。
ドナルド・トランプ大統領は土曜日、民主党系都市が要請しない限り、抗議活動に対して国土安全保障省(DHS)が介入しないよう指示したと発表した。この発表は、ミネアポリスでの大規模な国境警備隊と移民・関税執行局(ICE)の展開、そして連邦捜査官による市民2名の殺害事件を受けて数週間続いた抗議活動の後に行われた。
史上最大の移民取締り作戦の実態
ミネソタ州最大の都市であるミネアポリスで展開された今回の作戦は、連邦当局によれば「史上最大の連邦移民執行作戦」だ。昨年11月から開始されたこの作戦には約3,000人の捜査官が投入され、ソマリア系住民に関する詐欺疑惑とも関連付けられている。
作戦の過程で、連邦捜査官が脅威に対応したとして1月14日にアレックス・プレッティ氏、1月7日にレニー・グッド氏を射殺した。しかし、目撃者の動画や証言は、当局の主張と矛盾している。
この軍事的な取締り作戦は、市と州の当局者を連邦政府と対立させ、活動家と移民執行官の間で日常的な衝突を引き起こし、全米各地で抗議活動が拡大する結果となった。
方針転換の背景にある政治的計算
トランプ氏は自身のTruth Socialで、クリスティ・ノエム国土安全保障長官に対し、民主党系都市が「助けを求めるまで」は抗議活動に「いかなる状況でも参加しない」よう指示したと述べた。
一方で、連邦建物の保護については強硬姿勢を維持すると表明した。「我々の職員の顔に唾を吐くことも、我々の車のヘッドライトを殴ったり蹴ったりすることも、我々の車両や愛国者戦士に石やレンガを投げることも許さない」と警告している。
この発表は、ミネアポリスでの取締りを指揮していた国境警備隊の上級司令官グレッグ・ボビーノ氏を、国境皇帝トム・ホーマン氏に交代させる決定と時期を同じくしている。
連邦制度の根幹に関わる問題
ミネソタ州司法長官キース・エリソン氏らは、DHSが憲法上の保護を侵害しているとして、州内での移民執行急増に法的異議を申し立てている。しかし、連邦判事は訴訟の進行中も執行作戦の停止を拒否している。司法省の弁護士らは、この訴訟を「法的に軽薄」と呼んでいる。
ミネソタから報告しているアルジャジーラのマヌエル・ラパロ記者は、トランプ氏の最新発表がホワイトハウスからの「より柔軟なトーン」を示していると分析している。
ホーマン氏は木曜日、連邦捜査官がミネアポリスで標的を絞った作戦に集中し、怒りを買った広範囲の街頭一斉捜査から方針転換すると述べ、州・地方指導者から「協力」を得られれば市に配備する捜査官数を削減すると表明した。
日本から見た連邦制度の意味
日本の読者にとって興味深いのは、この事件が浮き彫りにするアメリカの連邦制度の複雑さである。中央政府と地方自治体が直接対立する構造は、中央集権的な日本の統治システムとは大きく異なる。
日本では国と地方自治体の役割分担が比較的明確だが、アメリカでは移民執行という連邦政府の権限と、地方の治安維持という州・市の権限が衝突する場面が頻繁に発生する。今回のミネアポリスの事例は、そうした制度的緊張の極端な例と言えるだろう。
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