「アメリカは守ってくれるのか」—アジア太平洋の軍事費、16年ぶりの急増
2025年のアジア太平洋地域の軍事費が16年ぶりの最速ペースで増加。SIPRIの最新報告書が示す「トランプ要因」と日本を含む同盟国の安全保障への不安とは。
同盟国が最も恐れるのは、敵国の攻撃ではなく、守護者の沈黙かもしれない。
2025年、アジア太平洋地域の軍事費は16年ぶりの最速ペースで増加した。スウェーデンの安全保障研究機関であるストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が2026年4月28日に発表した年次報告書が、その実態を明らかにした。世界全体の軍事費は2兆8,900億ドルに達し、前年比2.9%増。11年連続の増加となり、GDPに占める軍事負担は2.5%と、2009年以来最高水準に達した。
「トランプ要因」が揺るがす安全保障の常識
この増加の背景に何があるのか。SIPRIの報告書は率直に指摘する——米国の同盟国が「ワシントンが安全保障上の約束を守るかどうか、高まる不確実性を感じている」と。
トランプ政権下で米国の軍事費は前年比7.5%減の9,540億ドルに落ち込んだ。その主な原因は、ウクライナへの新たな軍事支援が承認されなかったことだ。米国が欧州の紛争から距離を置く姿勢を示したことは、アジア太平洋の同盟国に一つの問いを突きつけた。「もし有事が起きたとき、米国は本当に来てくれるのか」。
世界の軍事費トップ3は米国、中国、ロシアで、合計1兆4,800億ドル——世界全体の約半分を占める。しかし今回の報告で注目すべきは、この「三強」の構図よりも、その周辺で起きている変化だ。米国の存在感が揺らぐ中、アジア太平洋の各国が自国防衛への投資を急速に拡大させている。
日本にとって何を意味するのか
日本はこの潮流の中心にいる。岸田政権が決定し、石破政権が引き継いだ防衛費のGDP比2%への引き上げ計画は、まさにこの「米国への依存からの部分的な脱却」という文脈で理解できる。2027年度までに防衛費を約43兆円規模にするという目標は、戦後日本の安全保障政策における最大の転換点の一つだ。
企業への影響も無視できない。防衛関連では三菱重工業や川崎重工業、電子機器では富士通やNECが防衛省との契約拡大を見込む。一方で、防衛費増加の財源をめぐる議論は国内で続いており、増税か国債かという問いは、高齢化社会の財政を圧迫するリスクとのトレードオフでもある。
市民生活の観点では、防衛費の増加は社会保障費や教育費との競合を生む可能性がある。少子高齢化が進む日本社会において、「安全保障への投資」と「社会への投資」のバランスをどう取るかは、政治的な問いであると同時に、私たち一人ひとりの価値観の問いでもある。
各国の思惑、それぞれの論理
軍事費増加を「脅威への対応」と見るか、「軍拡競争の加速」と見るかは、立場によって大きく異なる。
日本や韓国、オーストラリアなど米国の同盟国にとっては、自国防衛能力の強化は合理的な選択に映る。しかし北京からすれば、周辺国の軍備増強は包囲網の形成として映り、自国の防衛費増加を正当化する論拠となる。この「相互不信の螺旋」は、冷戦期の軍拡競争と構造的に似た側面を持つ。
国際社会の視点で見ると、欧州もまたNATOの国防費目標引き上げに直面しており、世界規模で「自国防衛の自立化」という流れが加速している。これはグローバルな安全保障秩序の再編を示唆するものかもしれない。
一方で、軍事費の増加が必ずしも安全保障の向上につながるわけではないという指摘もある。外交・経済・技術力を組み合わせた「総合的な安全保障」の観点から、軍事費一辺倒の増加に疑問を呈する専門家も少なくない。
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