トランプ大統領、銀行業界の「妨害」を非難 暗号資産法案の早期可決を要求
トランプ大統領がステーブルコイン利回り問題で銀行業界を批判。CLARITY法案の可決を急ぐ背景には中国との競争意識も
「アメリカ人は自分のお金でもっと稼ぐべきだ」。ドナルド・トランプ大統領が火曜日、Truth Socialへの投稿で銀行業界を厳しく批判しました。争点は、昨年彼が署名したステーブルコイン法案「GENIUS法」の実効性を巡る攻防です。
対立の核心:ステーブルコイン利回りを巡る綱引き
トランプ大統領は投稿で、銀行業界がCLARITY法案(暗号資産市場構造法案)を「人質に取っている」と非難しました。この法案は1月以降、上院銀行委員会で審議が無期限延期されており、最大の争点はステーブルコイン預金に対する第三者による利回り提供の可否です。
銀行側の懸念は明確です。Coinbaseなどの暗号資産取引所がステーブルコイン利回りを顧客に提供できるようになれば、従来の銀行預金からの資金流出が加速する可能性があります。一方、暗号資産業界は「人々は自分の保有資産で利回りを得る権利がある」と主張し、これはGENIUS法で認められた慣行だと反論しています。
記録的利益を上げる銀行への不満
トランプ大統領の投稿には、銀行業界への率直な不満が表れています。「銀行は記録的利益を上げているのに、中国や他国に流れてしまう強力な暗号資産アジェンダを妨害することは許さない」。この発言の背景には、47%という暗号資産市場の年間成長率と、アメリカが金融技術革新の主導権を握り続けたいという戦略的思惑があります。
興味深いことに、通貨監督庁(OCC)は先週の規則提案で、ステーブルコイン発行者と第三者パートナーとの契約条件を明確にする必要性を指摘しましたが、利回り支払いを明示的に禁止はしませんでした。これは規制当局も慎重なバランスを取ろうとしていることを示しています。
日本への示唆:デジタル円の未来
日本の金融機関にとって、この米国の動向は他人事ではありません。日本銀行がデジタル円(CBDC)の実証実験を進める中、ステーブルコインと既存の銀行システムの共存モデルが問われています。
三菱UFJ銀行やみずほ銀行などの大手金融機関は、すでにデジタル通貨分野での取り組みを加速していますが、米国の規制動向は日本の政策決定にも大きな影響を与えるでしょう。特に、金融庁が検討中のステーブルコイン規制フレームワークにおいて、利回り提供の可否は重要な論点となる可能性があります。
時間との競争:政治カレンダーの制約
ホワイトハウスは2月末までに合意を目指していましたが、交渉は続いています。夏季休会と2026年の選挙サイクルが本格化する中、法案可決の時間的余裕は急速に縮まっています。
トランプ大統領がイランとの軍事作戦を指揮する中での突然の金融政策への言及は、この問題の緊急性を物語っています。中東情勢の緊迫化で航空便や海上輸送が混乱する中、暗号資産の重要性がさらに高まる可能性もあります。
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