トランプ政権、関税批判の経済学者に「処分」要求
ホワイトハウス経済顧問が連邦準備制度の研究者に対し、関税政策を批判した論文について「処分されるべき」と発言。学術の独立性への懸念が高まる。
94%。これは、アメリカの輸入業者と消費者が負担している関税コストの割合だ。しかし、この数字を発表したニューヨーク連邦準備銀行の研究者たちは今、予想外の「反撃」に直面している。
経済顧問の「処分」発言が波紋
トランプ政権のケビン・ハセット国家経済会議委員長は水曜日、CNBCのインタビューで衝撃的な発言を行った。関税の負担が消費者に転嫁されているとする研究論文について、「連邦準備制度史上最悪の論文」と酷評し、「この論文に関わった人々は処分されるべきだ」と述べたのだ。
ハセット氏の批判の矛先は、ニューヨーク連銀が先週発表した研究にある。この研究では、2025年に課された高関税の経済負担の94%を米国の輸入業者と消費者が負担していると結論づけている。
関税政策をめぐる根本的対立
トランプ政権は関税について全く異なる見解を持っている。ハセット氏は関税が米国の雇用を国内に戻し、需要を押し上げ、最終的に米労働者の賃金上昇につながると主張する。しかし現実は厳しい。米製造業は昨年4月以降、関税をめぐる不確実性も一因となって雇用を減らし続けている。
議会予算局の超党派分析でも、関税コストの30%を企業が利益率削減で吸収し、残り70%が消費者への価格転嫁として現れるとしている。学術界の大多数が「関税は消費者税」との見解で一致する中、政権は異なる主張を展開している。
学術の独立性への脅威
元連邦準備制度エコノミストのクラウディア・サーム氏は、ハセット氏の発言を「深く憂慮すべき」とSNSで批判した。政府高官が研究者への「処分」を公然と求めることは、学術研究の独立性に対する重大な脅威と受け止められている。
これは孤立した事例ではない。昨年、ゴールドマン・サックスが関税コストの消費者転嫁を指摘した際も、トランプ氏は同社CEOに「新しいエコノミストを雇うべき」と示唆していた。
日本企業への波及効果
日本企業にとって、この対立は単なる学術論争を超えた意味を持つ。トヨタやソニーなど、米国市場に深く依存する企業は、関税政策の実際の効果と政権の意図のギャップを慎重に見極める必要がある。
政権が関税の「成功」を強調する一方で、実際のコストが消費者に転嫁されているなら、日本製品の競争力や価格戦略にも影響が及ぶ可能性がある。
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