スタブルコインが2兆ドル市場へ、米国債市場に革命をもたらすか
スタンダードチャータード銀行の予測によると、2028年までにスタブルコイン市場が2兆ドルに達し、米国債券市場に1兆ドルの新たな需要を生み出す可能性があります。
2兆ドルという数字が、世界の金融市場を根本から変える可能性を秘めている。スタンダードチャータード銀行が2月23日に発表した報告書によると、スタブルコイン市場は2028年末までにこの規模に達し、米財務省債券市場に1兆ドルもの新たな需要を生み出すという。
現在のスタブルコイン市場規模は約3,000億~3,200億ドルに過ぎない。つまり、わずか3年間で6倍以上の成長が見込まれているのだ。
デジタル資産が国家財政を支える時代
テザーやサークルといったスタブルコイン発行企業は、すでに米国短期国債の主要購入者となっている。これらの企業は、USDTやUSDCといったトークンの価値を裏付けるため、数百億ドル規模の米国債を準備金として保有している。
興味深いことに、テザーが保有する米国債の規模は、中規模の主権国家投資家に匹敵するレベルに達している。暗号資産企業が国家レベルの債券投資家になるという、従来の金融常識では考えられない現象が起きているのだ。
スタンダードチャータード銀行のデジタル資産研究責任者ジェフ・ケンドリック氏と米金利ストラテジストのジョン・デイビス氏は、「スタブルコイン発行企業からの準備金需要により、8,000億~1兆ドルの新たな短期国債需要が生まれる」と分析している。
需給ギャップが生み出す新たな戦略
連邦準備制度理事会(FED)の購入予定1兆~1.2兆ドルと合わせると、2028年までの新規短期国債需要は約2.2兆ドルに達する見込みだ。一方、現在の発行比率が維持された場合の新規供給は約1.3兆ドルにとどまり、9,000億ドルの需給ギャップが生じる可能性がある。
この状況は、スコット・ベッセント財務長官に新たな選択肢を提供する。短期国債の発行比率を3年間で2.5ポイント引き上げれば、約9,000億ドルの追加供給が可能になり、需給ギャップを解消できるというのだ。
さらに注目すべきは、この戦略により30年債の発行を3年間停止することも可能になるという点だ。長期金利の上昇圧力を緩和し、政府の資金調達コストを抑制する効果が期待される。
日本への波及効果は?
日本の金融機関や投資家にとって、この動向は複雑な意味を持つ。米国短期金利の安定は、円ドル相場や日本の金融政策にも影響を与える可能性がある。
特に、日本の機関投資家が大量に保有する米国債市場において、スタブルコイン需要という新たなプレイヤーの登場は、投資戦略の見直しを迫るかもしれない。一方で、日本企業がスタブルコイン事業に参入する機会も広がっている。
現在、ビットコインは2025年10月の12万6,000ドルのピークから50%以上下落し、スタブルコイン成長は一時的に停滞している。しかし、スタンダードチャータード銀行は、これらの逆風を「循環的なもの」と位置づけ、長期的な成長トレンドは変わらないと予測している。
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