ユーラシア物流の再編:カザフスタンが牽引する TRACECA 回廊 2025 年の最新動向
2025年、カザフスタンが牽引するTRACECA回廊の最新動向を分析。ウクライナ戦争やイランとの首脳会談を経て、ユーラシアの物流はどう変わるのか。STP合意やデジタル化の課題について解説します。
ユーラシア大陸の物流地図が、今まさに描き直されようとしています。ウクライナでの戦争や相次ぐ制裁措置により、従来のルートが軍事的・政治的リスクにさらされる中、かつての「お荷物」だったルートが脚光を浴びています。それは、1990年代に発足した「TRACECA(欧州・コーカサス・アジア輸送回廊)」です。
TRACECA カザフスタン 2025:地政学的リスクが生んだ「第3の選択肢」
「ディプロマット(The Diplomat)」の報道によると、2025年現在、この回廊の復活を力強く牽引しているのはカザフスタンです。アスタナ(カザフスタン政府)は、単なる加盟国という立場を超え、回廊の制度化を加速させています。2024年8月にはTRACECAの国内事務局長を任命し、税関規制やインフラの調整を強化しました。その中心となるのが、「単一通過許可証(STP)」合意への署名準備です。
イランとの歴史的合意:2025年12月の首脳会談が変えるもの
今月、2025年12月にイランのペゼシュキアン大統領がカザフスタンを公式訪問し、トカエフ大統領と会談したことは、物流の歴史において大きな転換点となりました。両国は国際道路輸送に関する合意議定書や、物流協力に関する覚書を締結しました。これにより、TRACECAにペルシャ湾やインド洋へのアクセスという「南の次元」が加わることが期待されています。
一方で、課題も山積みです。デジタル化の進展にもかかわらず、参加国間での情報システムの不均一さや、鉄道の軌間(ゲージ)の違い、複雑な多国間手続きがボトルネックとなっています。輸送コストは依然として高く、時間の予測可能性も不十分であると指摘されています。
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