ネパールの若者たちが制服で抗議し、警察の実弾で19人死亡
ネパールの汚職反対デモで警察が実弾使用を命令、17歳の高校生を含む19人が死亡。Gen Z世代の政治参加と国家権力の衝突を検証
30,000人の若者が街頭に集まった日、ネパールの首都カトマンズで何が起きたのか。学校の制服を着た17歳の少年が、抗議の現場から立ち去ろうとした瞬間、後頭部に銃弾を受けて倒れた。
2025年9月8日、汚職に抗議するネパールのGen Z世代による大規模デモで、警察の実弾射撃により19人が死亡、数十人が負傷した。BBCの調査により、当時の警察本部長チャンドラ・クベル・カパングが「必要な武力を行使せよ」という命令を下していたことが明らかになった。
Discord で組織された若者たち
ネパールは2008年に共和制となった若い民主国家だが、5人に1人の若者が失業状態にある。昨年8月、Gen Z活動家たちは「ネポベイビー」という言葉をSNSで拡散し、特権階級の子弟を批判し始めた。
政府が9月4日にFacebook、YouTube、Instagram、Xを禁止すると、活動家たちはゲームプラットフォームDiscordに移った。「Youth Against Corruption」フォーラムで国会前抗議が計画された。
最年少犠牲者となったシュリーヤム・チャウラガイン(17歳)は母親に「Gen Zの若者たちの抗議だ。制服を着ていく。平和的なものになる」と話していた。母親は参加を止めようとしたが、彼は「汚職がネパールを空洞化させた」と語り、世界情勢への強い関心を示していた。
想定外の規模と混乱する指揮系統
午前9時、若者たちは中央カトマンズのマイティガル・マンダラに集まり始めた。警察の予想3,000人に対し、実際には30,000人が参加した。
「警備当局は群衆を大幅に過小評価していた」と地元メディア編集者は証言する。「政治関係者は『子供たちが参加している』と言っていた」
Discordでの動員パターンを理解できなかった警察は、午前11時47分にバリケードを放棄。群衆が国会に到達し、午後12時15分には一部が敷地内に侵入した。
実弾使用命令の瞬間
国会から約3キロ離れた政府庁舎の指令室では、民間警察、軍、武装警察、情報機関の代表が状況を監視していた。しかし安定したインターネット接続がなく、全体状況の把握が困難だった。
午後12時30分、即座に外出禁止令が発令されたが、抗議者たちは従わず、警察部隊を包囲して石やレンガを投げつけた。現場の警官たちは指令室に救援を要請し、警棒、放水車、ゴム弾が効果を示さない中、実弾使用許可を繰り返し求めた。
BBCが入手した内部文書によると、午後12時40分、コールサイン「Peter 1」が「外出禁止令発令済み。これ以上の許可は不要。必要な武力を行使せよ」と命令した。Peter 1は当時の警察本部長カパングの呼び出し符号だった。
制服姿の少年の最期
午後2時9分、シュリーヤムは学校のかばんを背負ったまま、石を投げる抗議者たちから離れようと静かに歩いていた。手を叩く仕草は穏やかに見えた。その時、後頭部に銃弾を受けて倒れた。
BBCが検証した映像では、犠牲者6人のいずれも暴力行為には関与していなかった。午後2時21分の映像では、国会敷地内から警察が群衆に向けて7発を発砲する様子が記録されている。
翌9日、銃撃への怒りがネパール全土に広がった。警察署が放火され、警官3人が殺害された。国会議事堂や最高裁判所も襲撃を受け、首相が辞任、政府が崩壊した。
記者
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