イラク新政権とイラン影響力の狭間で揺れる中東バランス
ルビオ国務長官がイラク首相と電話会談、ISIS収容者移送を評価する一方でイランからの距離を要求。マリキ氏の首相復帰が予想される中、米国の中東戦略に変化の兆し。
10年ぶりにイラクの政権交代が予想される中、アメリカのルビオ国務長官がイラクのスダニ首相と電話会談を行い、ISIS関連収容者の移送を評価する一方で、イランからの距離を置くよう要求した。この外交的圧力は、中東における勢力均衡の微妙な変化を示している。
ISIS収容者移送が示す戦略転換
今回の電話会談で、ルビオ長官はイラク政府によるISISテロリストの移送と拘束の迅速化について「イラク政府の主導力を称賛する」と述べた。水曜日には、シリアのハサカにある拘置施設から150人の収容者がイラクの安全な施設に移送され、今後最大7,000人が移送される予定だ。
この動きは、アメリカがシリアでのISISとの戦いにおいて、これまで10年以上にわたって関係を築いてきたクルド系シリア民主軍(SDF)との協力から、シリア政府との連携へと舵を切る大きな戦略転換を意味している。SDFは長年、アメリカから訓練と武器供与を受けてISISと戦ってきた重要なパートナーだった。
マリキ氏復帰が意味するもの
この電話会談は、ヌーリ・マリキ氏が10年ぶりに首相に復帰する見通しが強まる中で行われた。マリキ氏は2006年にアメリカの支援を受けて首相に就任したが、宗派対立を煽る政策を実施したとしてISISの台頭を招いたと批判され、アメリカとの関係が悪化した経緯がある。
ルビオ長官は、新政府がバグダッドで権力を握ることが予想される中、「イラクは中東における安定、繁栄、安全保障の力として、その潜在力を完全に実現できる」と述べた。しかし同時に、「イランに支配される政府では、イラク自身の利益を最優先にし、地域紛争からイラクを遠ざけ、アメリカとイラクの相互利益的なパートナーシップを推進することはできない」と警告した。
複雑な歴史的背景
アメリカは2003年にイラクに侵攻し、その結果、同国は政治的混乱に陥り、アルカイダ、そして後にISISが台頭することになった。アメリカ軍は2009年に撤退したが、イラク治安部隊の訓練のため一部の兵士が残留した。2011年には米主導の連合軍がイラクから完全撤退し、戦争の終結を宣言したが、少なくとも27万5,000人の死者と荒廃した国を残した。
2014年、ISISとの戦いで再び5,000人のアメリカ軍が展開されたが、イラク政府は今月、これらの部隊も完全に撤退したと発表している。
イランの影響力への懸念
ワシントンが最も懸念しているのは、人民動員軍(PMF)の傘下で活動する親イラン系シーア派武装グループの影響力だ。PMFはISISとの戦いで重要な役割を果たしたが、アメリカはこれらの武装グループが解体され、国家機構に統合されることを求めている。
一方、アメリカは中東での軍事力を増強している。トランプ大統領は木曜日、イランを標的とした「艦隊」がペルシャ湾に向かっていると発表した。昨年12月末から始まったイランでの大規模抗議デモの中で、トランプ氏は軍事介入を繰り返し脅し、テヘランは報復を誓っている。
地域全体への波及効果
イランのエスマイル・バガエイ外務省報道官は月曜日、「我々は以前よりも強力に、あらゆる侵略に対応し、侵略者を後悔させる対応を取る」と述べた。「この地域の不安定化はイランだけを標的としたものではないため、地域諸国には共通の懸念がある」とも付け加えた。
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