ステーブルコインの覇権争いが変わった:「流通」が新たな戦場に
メタの決済復帰で明らかになった、ステーブルコイン業界の構造変化。発行から流通へシフトする競争の本質とは?
36億人のユーザーを抱えるメタが、今年後半にステーブルコイン決済機能を導入すると発表した。しかし、これは単なる決済手段の追加ではない。ステーブルコイン業界の競争軸が根本的に変わったことを示している。
「ステーブルコイン・サンドイッチ」の終焉
メタの元Diem(旧Libra)共同開発者で現MIT教授のクリスチャン・カタリニ氏は、業界の変化を「コモディティ化」と表現する。かつてステーブルコインの価値は発行と管理にあったが、今や複数のプロバイダーが同様のサービスを提供する「商品」になりつつある。
従来の「ステーブルコイン・サンドイッチ」—法定通貨から暗号通貨、そして再び法定通貨への変換プロセス—は、もはや差別化要因ではない。カタリニ氏は「メタだけでなく、グーグルやアップルも複数のプロバイダーを使うようになる」と予測する。
新たな戦場:ユーザーとの接点
競争の焦点は「流通」に移った。誰がエンドユーザーとの直接的な関係を持つかが、価値獲得の鍵となる。メタの36億人という圧倒的なユーザーベースは、この文脈で理解すべきだ。
興味深いのは、この変化が既存の金融機関にとって有利に働く可能性があることだ。ビザやマスターカードのようなカードネットワークは、ステーブルコインによって手数料収入を脅かされる一方で、流通面では強固な地位を持つ。
カタリニ氏は「レールと資産をコモディティ化できれば、彼らはビジネスを守ることができる」と指摘する。
日本企業への示唆
日本の金融機関や決済事業者にとって、この変化は重要な意味を持つ。SBIホールディングスとスタートエールグループが今週発行した円建てステーブルコイン(JPYSC)も、この文脈で捉える必要がある。
技術の標準化が進む中、日本企業の競争優位性は顧客との関係性とサービス体験にかかっている。ソニーの金融事業や楽天の決済プラットフォームなど、既存のユーザーベースを持つ企業ほど有利な立場にある。
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