大豆農家の不安、トランプ外交が招く中国報復の影
トランプ政権の強硬外交により、米国大豆農家が中国の報復措置を懸念。中間選挙を前に農業票の行方が注目される中、地政学的リスクが農業経済に与える影響を分析。
破産寸前まで追い込まれた2025年を経て、アーカンソー州の大豆農家ランダル・シェルビー氏が新年を迎えた今、彼の心を占めるのは一つの恐怖だった。ワシントンと北京の緊張が再び高まる中、米国農家が再び板挟みになるのではないかという不安である。
火曜日、ドナルド・トランプ大統領は全米第2位の大豆生産州アイオワで農家向けに演説を行う。11月の中間選挙を前に、自分こそが農家の利益を最優先に考えていると説得するためだ。しかし現場の農家たちの心境は複雑だ。
ベネズエラからグリーンランドまで、農家を襲う地政学リスク
シェルビー氏の不安は、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」政策が中国の地政学的利益に間接的な圧力をかけていることに起因する。ベネズエラ、イラン、グリーンランド、カナダをめぐる強硬姿勢が、中国の報復を招くのではないかという懸念だ。
「農家の恐怖感はすでにそこにある。それは当然のことだ」とトランプ支持者でもあるシェルビー氏は語る。北京が米国の利益を損なったことへの報復として、中国が反撃に出る可能性について言及したものだ。
50歳のシェルビー氏は、トランプ大統領の外交的冒険が意味のある結果をもたらすかについて懐疑的だ。むしろ、これらの行動が米国の中国市場でのシェアを継続的に侵食し、すでに大量の収穫で世界市場を飽和状態にしている南米の生産者に永続的な優位性を与えることを恐れている。
南米という「見えない脅威」
「中国をもう少し協力的にさせるだけの十分な影響力を持っているなら別だが、南米がある以上、どうやってそれができるのか分からない」とシェルビー氏は率直に語る。
この発言は、米中貿易摩擦の本質的な問題を浮き彫りにしている。中国が米国産大豆の輸入を制限すれば、ブラジルやアルゼンチンといった南米諸国がその空白を埋める。一度失った市場シェアを取り戻すのは容易ではない。
実際、2018年から2020年の貿易戦争期間中、中国は米国産大豆への25%の報復関税を課し、米国農家は深刻な打撃を受けた。その間にブラジルは中国市場での地位を確固たるものにした。
日本への波及効果
日本の視点から見ると、この状況は複数の意味を持つ。まず、日本の商社や食品メーカーにとって、大豆の調達先多様化がさらに重要になる。米中間の緊張が高まれば、価格変動リスクも増大する。
味の素やキッコーマンといった大豆を主原料とする日本企業は、すでに調達戦略の見直しを進めている。南米産への依存度を高める一方で、国産大豆の活用も検討している企業が多い。
記者
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