SECの新ガイダンス:暗号資産規制の「半歩前進」
SECとCFTCが共同で暗号資産に関する新ガイダンスを発表。ゲンスラー時代からの転換は本物だが、法律専門家はHoweyテストの解釈など重要な曖昧さが残ると指摘する。日本市場への影響も含めて考察。
規制当局が「明確さをついに提供した」と言ったとき、業界が安堵するのは当然だ。しかし、その「明確さ」の中に新たな曖昧さが埋め込まれていたとしたら?
2026年3月19日、SEC(米国証券取引委員会)はCFTC(商品先物取引委員会)と共同で、デジタル資産に証券法がどのように適用されるかについての新ガイダンスを発表した。ゲンスラー前委員長の下で繰り返された「執行による規制」——訴訟を通じて業界ルールを事実上作り上げるアプローチ——からの転換を正式に認め、ステーキングやミームコインに関する一定の整理を提供した点は、業界から歓迎されている。
だが、Gibson Dunnの弁護士たちは冷静だ。このガイダンスは「前進」ではあるが、「完全な軌道修正」には程遠いと指摘する。
核心問題:「投資契約」とは何か
暗号資産規制の根幹にあるのが、1946年に確立されたHoweyテストだ。ある資産が「投資契約」(=証券)に該当するかどうかを判断するための基準で、「金銭の投資」「共同事業」「他者の努力による利益期待」の三要素で構成される。
問題の本質はシンプルだ。デジタル資産そのものが証券なのか、それとも証券となるのは発行者と投資家の間に「契約」が存在する場合に限られるのか。
Gibson Dunnの弁護士たちは、法律の文言・歴史・常識から見て、「投資契約」とは文字通り契約——発行者が投資家に対して継続的な利益を提供する明示的または黙示的な合意——を意味すると論じる。デジタル資産は投資契約の「対象」となり得るが、契約なしに売却された場合は証券法の適用外となるはずだ。
ところが新ガイダンスは、この点について沈黙している。代わりに「事実と状況」に基づき、開発者が「資金投資を誘導するための表明や約束」を行い、購入者が「利益を得る合理的期待」を持つ場合に投資契約が成立すると述べるにとどまる。
これはゲンスラー時代の「経済的実態」アプローチからの明確な決別ではない。ツイート、ホワイトペーパー、マーケティング資料を「つなぎ合わせて」投資契約を構成できる余地を、依然として残している。
「改善されたが、まだ足りない」三つの論点
新ガイダンスは確かに改善をもたらした。開発者の表明が「明示的かつ明確」で「十分な詳細を含む」ことを要件とし、購入前に行われたものでなければならないとした。これはゲンスラー時代の野放図な解釈に一定の歯止めをかける。
しかし弁護士たちは三つの残存問題を指摘する。
第一に、「公開声明が価値に影響を与えるだけでは不十分」という明確な宣言がない。ビーニーベイビーやトレーディングカードのような収集品も、メーカーのマーケティングや希少性演出によって価値が左右される。これらと暗号資産を区別する明確な基準が示されていない。
第二に、二次市場取引への対応が不十分だ。新ガイダンスは「デジタル資産が投資契約と永久に結びつくわけではない」と認めた点は評価できる。しかし購入者が発行者の「表明と約束が資産に結びついていると合理的に期待する」限り、二次市場でも投資契約が「旅する」可能性を残している。取引所での売買において、買い手が売り手の身元すら知らない「ブラインド入札・売却」取引に投資契約を認定することは不合理だ——リップル訴訟でトレス判事が示したこの論理を、SECは明示的に採用すべきだった。
第三に、将来の執行リスクが残る。現在のSECがこのガイダンスを穏健に運用するとしても、将来の委員長が曖昧さを利用して「執行による規制」を再開する余地がある。民事訴訟の原告も同様だ。
日本市場への視点
日本の暗号資産業界にとって、米国のSECガイダンスは対岸の火事ではない。
金融庁(FSA)は長年、暗号資産を「暗号資産交換業」として独自の枠組みで規制してきた。米国での「証券か否か」という論争は、日本では「支払い手段か金融商品か」という形で展開されてきた。しかし、グローバルに展開する日本の取引所や、米国市場でトークンを発行・流通させる日本企業にとって、SECの解釈は直接的な法的リスクとなる。
SBIグループやGMOコインなどが米国市場での事業拡大を模索する中、「投資契約」の定義が依然として曖昧なままであることは、コンプライアンス戦略の策定を困難にする。日本企業が得意とする「明確なルールに基づく精緻な対応」が、ルールそのものが不明確な状況では機能しにくい。
また、日本の機関投資家が暗号資産ファンドへの投資を検討する際、米国での規制リスクは重要な判断材料となる。SECガイダンスの曖昧さは、日本からの資本流入にも影響を与え得る。
「ファイスリフト」では足りない
Gibson Dunnの弁護士たちは、SECがガイダンスへのコメントを募集していることを踏まえ、業界が積極的に意見を提出すべきだと主張する。評価すべき点は評価しつつ、残存する曖昧さを明確に指摘し、「明確で、意味のある、恒久的な制約」を求めるべきだ。
ゲンスラー時代の執行キャンペーンの法的構造に「化粧を施す」だけでは不十分だ。次の強硬派委員長が登場したとき、業界が再び同じ混乱に直面しないための、構造的な明確化が必要だ。
SECは今、コメント期間という窓口を開いている。その窓が閉じる前に、業界がどれだけ具体的な提言を提出できるかが、次の規制サイクルの形を決める。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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